最新記事

コロナ感染テスト

ドイツで、世界初のスマホでできる新型コロナ感染テストが開発された

2021年4月14日(水)16時50分
冠ゆき

新型コロナ感染者が結膜炎を起こすことにヒントを得て開発された...... credit: Semic EyeScan

<ドイツの企業が、新型コロナウイルスの感染を判断できるスマートフォンアプリを開発した......>

ミュンヘンを拠点とする企業Semic RFは、新型コロナウイルスの感染を判断できるスマートフォンアプリを開発した。その名はセミック・アイスキャン(Semic EyeScan)。スマホのカメラ機能で撮った写真で、感染の有無を判断するというものだ。所要時間は3~5分と短く、97%の確実性があるという。

7万人以上を対象に分析テストを行い、97%の精度を立証

米国眼科学会(AAO)は、2020年の早い時期からCovid-19感染者が結膜炎を起こすことを指摘していた。これにヒントを得て、同社は2020年3月、450人の新型コロナ感染者を対象にセミック・アイスキャンのテストを開始した。

同社代表のヴォルフガング・グルーバー氏によれば、その後、200万を超えるピンクの色合いから、Covid-19のケースを識別することに成功した。すでに7万人以上を対象に分析テストを行い、97%の精度を立証した(E&T, 4/12)。

コンサートやサッカーの試合会場などでも使用できる

優れているのは個々のテストのスピードだけではない。同時に処理できる件数も100万件と多く、大勢あつまるコンサートやサッカーの試合会場などでも使用できる。その他にも、3歳児からお年寄りまで幅広い年齢に適用可能で、痛みもなく、簡単な方法で素早く結果が得られる。

また、自宅での検査も可能なため、スタッフの安全や時間節約にもつながる。結果はメッセージとQRコードで受け取ることができ、エコフレンドリーであることなど、同社が挙げるセミック・アイスキャンの利点は多い。

5月末までにドイツ国内での展開を目指す

具体的な使い方は、アプリを開いて目の写真を撮り、そのデータを送るだけだ。数分後には、検査結果がスマホにそのまま返ってくる。陽性あるいは陰性という結果に加え、血圧、脈拍、体温も知らせてくれる。この検査結果はQRコードの形でスマホのWalletに保存されるので、必要とされる場面でいつでも提示が可能だ。

なお、個人情報の扱いも、EU一般データ保護規則(GDPR)の取り決めに一致するものだ。

同アプリが当面ターゲットとする顧客は企業で、サービス使用料は月480ユーロ(約6万3000円)の予定だ。5月末までにドイツ国内での展開を目指しており、個人向けのサービス提供はそのあとになるという。

German firm develops eye-scanning app that can test for COVID-19

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 9
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中