最新記事

日本社会

ネットによって誰でも手軽に「寄付」ができる時代に

2021年4月14日(水)13時30分
舞田敏彦(教育社会学者)

実態にもう少し迫るべく、どういう層で寄付金の支出が増えているかを見てみる。1世帯あたりの年間支出額は、世帯主の年齢層別に知ることができる。<図2>は、2012年と2020年を比較したグラフだ。

data210414-chart02.png

30~40代で増加幅が大きい。20代はお金がないためか額は少ないものの、2012年と比較した増加率は高くなっている。ITの素養がある若年層や壮年層の増加率が高いことから、ネット募金やクラウドファンディングの影響がありそうだ。今、現役層は大変な思いをしている人が多いが、他の人の苦難に共感できるというのもあるだろう。

テクノロジーで時代が変わることの好例であるともいえる(ちきりん氏)。ネットのおかげで、人々の善意を募りやすくなっている。それならば、他の分野にもこのテクノロジーを活用してはどうだろうか。

国政選挙の投票率は低下の傾向にあるが、それに寄与しているのは若年層だ。投票所に出向き、紙にマルをつけて四角い投票箱に入れる、というやり方が時代にそぐわなくなりつつある。随所で言われているが、ネット選挙の導入を検討するべきと思う。<図2>のグラフから察せられるように、テクノロジーで行動が変わる可能性は大いにある。

寄付に話を戻すと、ITを介して善意を集めやすくなっているのは素晴らしいことだ。人々を納得させる有意義なプロジェクトならば、必要な資金を簡単に集められる。今は大学も苦しくなっており、研究者も自前で研究費を調達しないとならない時代だ。そのためには、自分の研究の意義を一般人に分かってもらえるよう、分かりやすく説明できなければならない。科学研究費の申請書に書くような文書では、とうてい理解は得られまい。

閉じた形でなされてきた、学校での教育実践や研究に「社会性」を付与するいい機会でもある。

<資料:総務省『家計調査』

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

英、米との貿易協議に期待 合意近いとビジネス貿易相

ワールド

トランプ氏、マスク氏は「素晴らしい」と擁護 いずれ

ワールド

韓国憲法裁、尹大統領の罷免決定 直ちに失職

ビジネス

先駆的な手法を一般化する使命感あり、必ず最後までや
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    5万年以上も前の人類最古の「物語の絵」...何が描かれていた?
  • 2
    「最後の1杯」は何時までならOKか?...コーヒーと睡眠の「正しい関係」【最新研究】
  • 3
    【クイズ】日本の輸出品で2番目に多いものは何?
  • 4
    アメリカで「最古の銃」発見...いったい誰が何のため…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    得意げに発表した相互関税はトランプのオウンゴール…
  • 7
    「ネイティブ並み」は目指す必要なし? グローバル…
  • 8
    アメリカから言論の自由が消える...トランプ「思想狩…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 10
    テスラが陥った深刻な販売不振...積極プロモも空振り…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 7
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 8
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 9
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 7
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 8
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアで…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中