中国の弾圧で人権を踏みにじられるウイグル女性たち 悲惨な虐待の実態と、必死の抵抗
UIGHUR WOMEN AT THE FORE
中国政府が外国人記者や外交官に対して収容所への見学や視察を禁止しているため、収容所から解放された人々の証言を客観的に検証することはできない。だが女性たちの証言は、解放された他の人々の証言や、ウイグル自治区の出生率低下、中国が「イデオロギー的ウイルス」と呼ぶ少数民族の排除を目的とした同自治区の政策と一致している。
もちろん中国政府は、こうした告発内容を強く否定している。子宮内避妊器具の装着や不妊手術、中絶手術の強要といった話は「悪意に満ちたスキャンダラスな意見」だと、自治区政府は一蹴している。
だが女性たちの証言によると、中央政府の指示を勝手に解釈した地方政府の当局者が身体的措置を強要している可能性がある。例えばカザフスタンに移住して結婚したグルジヤ・モグディンの場合だ。
17年9月、モグディンが新疆に帰郷すると、地元の警察から子供たちも連れてきて住民登録をしろと命じられた。この時点で彼女はパスポートも没収された。同年12月25日の深夜、警官が来て「検査」と称してモグディンを病院に連れていった。そこで妊娠が判明した。
すると当局は、モグディンに中絶を迫った。拒否し続けたモグディンは18年1月、兄弟と一緒に当局に呼び出され、中絶しなければ兄弟が責任を問われると言われた。やむなく、彼女は命令に従った。
数カ月後、夫がカザフスタン政府に介入を求め、モグディンはカザフスタンに戻ることを許された。だが兄弟は収容所に連行され、1年ほどつらい思いを強いられた。
新疆ウイグル自治区に暮らす女性たちは何年も前から、漢民族への同化を迫る中央政府のキャンペーンに抵抗してきた。しかし共産党政権の圧力は高まるばかりで、11年にはイスラムの戒律で女性に求められるベールや伝統的な長いドレスの着用を禁ずるキャンペーンが開始された。髪を編んだり伸ばしたりするのは時代遅れだという洗脳教育も行われた。「女性が顔を隠せば過激派扱いだ」と言うのは、アメリカの人権擁護団体「ウイグル人権プロジェクト」のズバイラ・シャムセデンだ。
中国政府はウイグル人の同化を一段と深化させるために「ウイグル人女性の完全な再設計」を目指していると、彼女は訴える。例えば、ウイグル人を含む少数民族の女性を漢民族の男性と強制的に結婚させることだ。おまえの兄弟や父親を収容所から解放してほしければ、漢人の男性と結婚しろ。そういう論法だ。
もっと露骨な政策もある。夫が収容所送りとなった少数民族の家庭に漢民族の男性が入り込み、その女性を妻とし、家庭を乗っ取るなどの政策だ。既に100万件以上の実績があるとされ、中国政府はこれを民族同化の有効な手段と認めている。