硬貨大のブラックホールが地球を破壊する
A Coin-Sized Black Hole Would Destroy Earth—Here's How
地球の回転や外向きの圧力を考慮に入れなければ、地球全体が約10〜15分でブラックホールに飲み込まれるはずだが、実際に起きることは、もっと複雑なのだ。
地球にブラックホールに呑み込まれることは、理論的にはありうる。だが、地球上に1セント銅貨サイズのブラックホールを作ることは実際には不可能だ。そのためには、膨大な量の物質と、それをごく小さなものに凝縮する方法がなければならない。さらに、これまで観測されたなかで地球に最も近いブラックホールは、1000光年離れている。
膨大な質量が、非常に小さな空間の一点に詰め込まれているブラックホールは、信じられないほど破壊的であると考えられている。宇宙に存在するブラックホールは、「事象の地平線」と呼ばれる球体に囲まれ、光をはじめ、この球体に入り込んだ物質は決して外に出ることはできない。
ブラックホールの大きさは、その事象の地平線の半径の観点から考えることができる。これは重力半径または、1世紀以上前にアインシュタインの方程式から、ブラックホールの存在を示唆するアイデアを導き出したドイツの天文学者カール・シュワルツシルトにちなんで「シュワルツシルト半径」と呼ばれている。
極小から超大質量まで
シュワルツシルト半径があるのは、ブラックホールだけではない。惑星や月、人間のような質量を持つ物体には、シュワルツシルト半径が存在する。
物理的半径がシュワルツシルト半径よりも小さくなると、物体はブラックホールになる。地球のシュワルツシルト半径は直径約8.7ミリ(直径約17.5ミリ)と考えられている。
アメリカの1セント銅貨は直径約19ミリなので、もし誰かが地球を米1セント銅貨より少し小さく縮めると、地球はブラックホールと化す。つまり、1セント銅貨サイズのブラックホールが存在するとすれば、その質量は地球よりも少し大きい。
一方、大きさが途方もないブラックホールも存在し、「超大質量ブラックホール(SLABS)」と呼ばれている。宇宙最大のブラックホールとされるTON 618の質量は、太陽の660億倍だ。