「アジア人は禿げない」神話に異変 東アジアで薄毛化加速、中国では20年早まる
東アジアの男性は、脱毛率が世界でも最も低い状態が続いてきたが...... AH86-iStock
<日本を含むアジアの男性は白人男性に比べ、薄毛に悩む割合がかなり小さいとされてきた。しかし、近年のデータは異変を告げている......>
アジア人は若く見られるとよく言われるが、薄毛の割合が少ないことも大きな要因となっているのかもしれない。男性に多い「男性型脱毛症」の人種別・国別の状況を調べた従来の調査において、とくに日本など東アジアで発症の割合と進行度が小さいことが判明している。
男性型脱毛症とは、思春期以降に現れる脱毛のパターンとしては男女ともに最も一般的である「AGA」のうち、男性を中心に見られるタイプのものだ。額または頭頂部から毛量が寂しくなりはじめ、徐々に範囲を広げてゆく。
米CNNは「ほぼすべての白人男性が遅かれ早かれ、ある程度の男性型脱毛症に直面することを、複数の研究が示唆している」「およそ半数は中年までに髪を失う」と述べる一方で、「アジア人男性、とくに東アジアの男性は、脱毛率が世界でも最も低い状態が歴史的に続いてきた」と紹介している。
英エクスプレス紙は、旅行情報サイトの『トリップアドバイザー』が2011年にアデランスの協力を得て発表したデータを引き、薄毛の男性の割合がヨーロッパに多い傾向にあったと紹介している。街頭で通行人を観察したところ最も薄毛の人が多かったのはチェコの約43%で、次いでスペイン、ドイツ、フランス、イギリス、アメリカ、イタリア、ポーランド、オランダの順となり、ここまですべて欧米諸国が占めている。日本は21ヵ国中14位(約27%)で、これ以降の下位はすべてアジアの国々となり、洋の東西でくっきりと傾向が分かれた。
さらに、米国立衛生研究所が公開している論文は、「日本人男性はヨーロッパ人と比べてAGAをほぼ10年遅れで生じる」とし、とくに若い世代で発現と進行が顕著に少ないとしている。パターンに細かな違いはあるものの、中国、韓国、台湾においても、ヨーロッパより割合が低い傾向が確認されている。
東アジアに近づく薄毛の足音
ところが、このような傾向に安穏としていられる時間もそう長くないのかもしれない。日本についてはデータがないものの、同じ東アジアを構成する中国と韓国では、30代を中心に急速に薄毛化が進行しているとの報告が出はじめている。
CNNは中国で5万人を対象に行われた調査結果に触れ、「この国の30代の人々は他のどのグループよりも急速に頭髪を失っている」「中国国営メディアによると、調査参加者のうち、1990年以降に生まれた人々のほぼ3分の1が薄毛を申告した」と報じている。