最新記事

インド

インド、二重変異株の猛威で1日に感染34万人「医療は崩壊した」

2021年4月27日(火)17時30分
青葉やまと

日本でも確認の二重変異株、その特性とは

問題の二重変異株について日本政府は22日、5件の感染例が国内で確認されたと発表している。二重変異株は通常の株とどのように違い、なぜ懸念されているのだろうか?

ウイルスは常に変異を繰り返しており、変異自体は必ずしも珍しいものでもなければ、常に「凶悪」な方向に変化するとも限らない。二重変異株自体も、2つどころか、元々のコロナウイルス株から11〜15箇所ほど変異している。B.1.617が「二重」変異株と呼ばれるのは、このうち憂慮すべき大きな変異が2つあるためだ。

1つ目は「L452R」と呼ばれる変異で、これはカリフォルニア変異株と共通の内容だ。ウイルスがヒトの細胞にとりつくトゲ(スパイク)の部分が変異し、より感染力が増している。452番目のアミノ酸がロイシン(略号L)からアルギニン(R)に変わっているため、このように呼ばれる。

2つ目の変異は「E484Q」と呼ばれるもので、南アフリカおよびブラジル変異株に見られる変異「E484K」と同じ箇所の変異だ。484番目のアミノ酸がグルタミン酸(E)からグルタミン(Q)に変異している。リシン(K)に変化した南ア・ブラジル型と同じ特性を持つことが懸念されており、そうであれば人体の免疫を回避する特性を持ち、ワクチンの効力低下を招く可能性がある。

現段階で確定的な情報はないものの、少なくともアストラゼネカ製の「コビシールド」ワクチンは、引き続き効力を有する可能性があるようだ。ヒンドゥー紙は、少人数の回復期患者およびワクチン接種者の血しょうを使った予備研究段階の実験結果を紹介している。記事は「コビシールド・ワクチンの接種者たちがB.1.617二重変異株に対して保護されることがインドで初めて確認された」と述べている。変異によってワクチンの効力が低下したとしても、一定程度までであればワクチン自体の有効性は保持される。

ただし、これはあくまで少数のサンプルを対象にした予備調査に過ぎない。このほかワクチン製造各社もデータを公表しているが、第三者による査読済みの論文は現時点でいずれのワクチンに関しても発表されておらず、さらなる研究が待たれる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 5
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 8
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 10
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中