最新記事

ビットコイン

ビットコイン価格は、まだ割安? 将来的な価値と無形資産を探る

2021年3月18日(木)17時55分
千野剛司(クラーケン・ジャパン代表)

「耐久性」(durability)
ビットコインを誤って知らないアドレスに送金したり秘密鍵を紛失したりするとビットコインは永遠に失われることになる。しかし、ビットコインそれ自体が破壊されることはない。

「持ち運びやすさ」(portability)
1ドルであろうと10億ドルであろう、どんな量のビットコインもPCやスマホに保管でき持ち運びできる。

「分割しやすさ」(divisibility)
1ビットコインは、小数点以下第8位(0.00000001)まで分割できる。0.00000001ビットコインは、「1サトシ」という単位で 呼ばれている。

「単一性」(uniformity)
ビットコインは違う時期と場所で生成されるが、どこでも1ビットコインは1ビットコインだ。

「限られた供給量」(limited supply)
ビットコインの供給量上限は2100万ビットコインだ。

「普及率」(acceptability)
2020年10月時点で、ビットコインは世界で1万6000のビジネスによって何らかの形で使われている。まだ発展途上ではあるが、2013年11月の約550ビジネスと比較して、2万8000%の上昇だ。

終わりに

上記に掲げたビットコインの本源的な価値を示す理論は、仮説段階のものが多いものの、本源的な価値について考えるきっかけになったのではないだろうか。

デジタル資産と伝統的な資産の価値の測り方が同じでなければならないという根拠はどこにもない。オープンソースコードなど、デジタル時代ならではの新たな手法に基づいた本源的な価値の導き方に関しては今後も研究が必要だ。また、伝統的な価値尺度では測れない無形資産をビットコインは複数持っている点も忘れてはならない。

再帰性理論が主張するように、本源的価値のあるなしは、結局、人々がそう思うかどうかにかかっているかもしれない。最近ではストック・フロー分析がようやく人々に浸透し始めているが、最終的にはどの理論がビットコインの本源的な価値を示す理論として最有力になるか注目だ。

生誕から12年。ビットコインの本源的な価値をめぐる研究は始まったばかりだ。

[筆者]
千野剛司
クラーケン・ジャパン(Kraken Japan)- 代表 慶應義塾大学卒業後、2006年東京証券取引所に入社。2008年の金融危機以降、債務不履行管理プロセスの改良プロジェクトに参画し、日本取引所グループの清算決済分野の経営企画を担当。2016年よりPwC JapanのCEO Officeにて、リーダーシップチームの戦略的な議論をサポート。2018年に暗号資産取引所「Kraken」を運営するPayward, Inc.(米国)に入社。2020年3月より現職。オックスフォード大学経営学修士(MBA)修了。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米中閣僚貿易協議で「枠組み」到達とベセント氏、首脳

ワールド

トランプ氏がアジア歴訪開始、タイ・カンボジア和平調

ワールド

中国で「台湾光復」記念式典、共産党幹部が統一訴え

ビジネス

注目企業の決算やFOMCなど材料目白押し=今週の米
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 3
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水の支配」の日本で起こっていること
  • 4
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任…
  • 5
    「信じられない...」レストランで泣いている女性の元…
  • 6
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 7
    メーガン妃の「お尻」に手を伸ばすヘンリー王子、注…
  • 8
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月2…
  • 9
    アメリカの現状に「重なりすぎて怖い」...映画『ワン…
  • 10
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 6
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 7
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 8
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 9
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 10
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 9
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中