ビットコイン価格は、まだ割安? 将来的な価値と無形資産を探る
③再帰性理論(The Theory of Reflexivity)
ジョージ・ソロスが支持する再帰性理論は、投資家は現実そのものではなく現実に対する認識を根拠に意思決定をすると主張する。つまり、より多くの人々が成功を信じれば成功の確率が高まることを意味する。例えば、アマゾンやグーグル、テスラの今日の成功は、現時点で存在するサービスや商品ではなく、多くの人々が成功する将来の姿を認識しているからだ。
成功を信じる人が多くなればなる人、それがポジティブなフィードバックループとなってさらなる信者を呼び込む現象が再帰性だ。ビットコインは、過去に「死亡説」や大規模ハッキング事件、バブル崩壊といった危機を何度も乗り越え、未だに多くの人々を魅了し続けている。「ビットコインの未来を信じている」という人々の認識によってビットコインは結果的に成功している。
通貨とビットコイン
円やドルなどの法定通貨は「価値の尺度」、「交換価値」、そして「価値の保存手段」として機能することで価値が生まれると考えられており、根拠となるのは発行体となる国だ。金が法定通貨の価値の裏付けではなくなり国の競争力や信頼性のみが根拠となったのが1971年。今の形での法定通貨は、実は誕生してからたった50年しか経っていないのだ。
最近では資産としての価値が注目されたビットコインだが、元々は通貨として法定通貨の代替手段として提案された。しかし、ビットコインは、通貨として本源的な価値がないとよく言われる。
ビットコインは「価値の尺度」と「交換価値」として機能するが、高いボラティリティから「価値の保存手段」になりえないというのがよく聞く理由だ。確かに今日1ビットコイン=500万円だったのに明日には1ビットコイン=600万円になることもある(もちろん、その逆もある)。
しかし、ビットコインのボラティリティは年々小さくなってきている。
「ビットコイン価格とボラティリティ(30日間ローリング、年率換算)」
また、先述の通り、最近では米国の機関投資家をはじめとして投資のプロが参入してきている。流動性が高まるとともに様々な形の思惑買いが増えることから、今後はますます相場が一方向に偏りづらくなるかもしれない。この点でもさらなるボラティリティの低下が期待できそうだ。
お金の7つの特性とビットコイン
セントルイス銀行によると、お金には「耐久性」、「持ち運びやすさ」、「分割しやすさ」、「単一性」、「限られた供給量」、そして「普及率」という7つの特性がある。以下のように、ビットコインは7つの特性を全ての特性を持っていると考えることができる。