最新記事

ビットコイン

ビットコイン価格は、まだ割安? 将来的な価値と無形資産を探る

2021年3月18日(木)17時55分
千野剛司(クラーケン・ジャパン代表)

③再帰性理論(The Theory of Reflexivity)
ジョージ・ソロスが支持する再帰性理論は、投資家は現実そのものではなく現実に対する認識を根拠に意思決定をすると主張する。つまり、より多くの人々が成功を信じれば成功の確率が高まることを意味する。例えば、アマゾンやグーグル、テスラの今日の成功は、現時点で存在するサービスや商品ではなく、多くの人々が成功する将来の姿を認識しているからだ。

成功を信じる人が多くなればなる人、それがポジティブなフィードバックループとなってさらなる信者を呼び込む現象が再帰性だ。ビットコインは、過去に「死亡説」や大規模ハッキング事件、バブル崩壊といった危機を何度も乗り越え、未だに多くの人々を魅了し続けている。「ビットコインの未来を信じている」という人々の認識によってビットコインは結果的に成功している。

通貨とビットコイン

円やドルなどの法定通貨は「価値の尺度」、「交換価値」、そして「価値の保存手段」として機能することで価値が生まれると考えられており、根拠となるのは発行体となる国だ。金が法定通貨の価値の裏付けではなくなり国の競争力や信頼性のみが根拠となったのが1971年。今の形での法定通貨は、実は誕生してからたった50年しか経っていないのだ。

最近では資産としての価値が注目されたビットコインだが、元々は通貨として法定通貨の代替手段として提案された。しかし、ビットコインは、通貨として本源的な価値がないとよく言われる。

ビットコインは「価値の尺度」と「交換価値」として機能するが、高いボラティリティから「価値の保存手段」になりえないというのがよく聞く理由だ。確かに今日1ビットコイン=500万円だったのに明日には1ビットコイン=600万円になることもある(もちろん、その逆もある)。

しかし、ビットコインのボラティリティは年々小さくなってきている。

「ビットコイン価格とボラティリティ(30日間ローリング、年率換算)」

chino_volatility.png

また、先述の通り、最近では米国の機関投資家をはじめとして投資のプロが参入してきている。流動性が高まるとともに様々な形の思惑買いが増えることから、今後はますます相場が一方向に偏りづらくなるかもしれない。この点でもさらなるボラティリティの低下が期待できそうだ。

お金の7つの特性とビットコイン

セントルイス銀行によると、お金には「耐久性」、「持ち運びやすさ」、「分割しやすさ」、「単一性」、「限られた供給量」、そして「普及率」という7つの特性がある。以下のように、ビットコインは7つの特性を全ての特性を持っていると考えることができる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中