パンデミック宣言から1年、世界の何が変わったか
Four Surprising Ways COVID Changed the World a Year Into the Pandemic
ハーバード医学大学院ウイルス学およびワクチン開発センターのディレクターを務めるダン・バルーフは、医学誌ネイチャーにこう語った。「新型コロナウイルスのワクチン開発の経験は、世界規模の感染爆発が起こった場合に、十分なリソースさえあれば、迅速なワクチン開発が可能であることを示した。安全性について妥協をすることなく、開発プロセスを大幅に加速させることができる」
新型コロナウイルスのワクチン開発は確かにきわめて迅速に行われたが、そのための土台づくりは既に何年も前から行われていた。
科学者たちは、SARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)など、その他のコロナウイルスについて研究を行っていたし、ファイザーやビオンテックが今回初めて実用化したmRNAワクチンの手法も、数年前から研究が行われていた。ネイチャー誌によれば、5年前だったらmRNAワクチンの技術はまだ不十分なものだったという。その後、技術が十分な進歩を遂げたのは幸運だった。
経済と仕事
米労働統計局によれば、2020年3月のアメリカの失業率(季節調整値)は4.4%だったが、4月までにはその3倍以上の14.7%に跳ね上がった。1週間の失業保険申請件数も大幅に増え、3月半ばには282件程度だった申請件数は、4月半ばまでには6867件に急増した。
世論調査機関ピュー・リサーチセンターが2020年10月13~19日にかけて、アメリカの成人5858人を対象に実施した調査によれば、「どこで働きたいか」に関する人々の考え方も大きく変わった。調査に回答した成人就業者の54%が、自分の仕事は在宅でも可能だと答え、パンデミックの収束後も在宅勤務を続けたいと回答した。
世界経済のかなりの部分がコロナ禍で打撃を受けたが――IMFの推定によれば2020年の世界経済の成長率は前年比でマイナス4.4%――全てのセクターが影響を受けた訳ではない。調査会社グランドビューリサーチが2020年10月に発表した報告書によれば、再利用可能なマスクの市場規模は、新型コロナウイルス感染症が大きな後押しとなって、2027年までに70億ドル超に達する見通しだ。また小売大手のアマゾンとウォルマートのパンデミック期間中の収益は、前年よりも107億ドル(56%)増加した。