大麻に厳しい国・フランスで、大麻成分入りのワインが誕生した訳
フランス人のアルコール消費量は、1960年以来減少傾向にある Burdi W
<フランスは欧州の中でも、大麻の取り扱いに厳しい国だ。そのフランスのボルドーで、大麻の成分のひとつであるカンナビジオール(CBD)入りワインが初めて生まれた理由とは...... >
フランスのボルドーで、大麻の成分のひとつであるカンナビジオール(CBD)入りワインが初めて生まれた。その背景から、フランスのワイン事情と大麻事情を紹介する。
ワイン離れが進む世代へのアプローチ
Burdi Wと名付けられたこのドリンクは、プティヴェルドと呼ばれる単一品種のブドウで生産された地元のワインにCBDを250mg組み合わせたもので、ヘンプの香りにカシス風味がプラスされている。
この商品を世に出したラファエル・ド・パブロ氏は、「クラシックなアルコール効果にリラックス効果が追加された」ドリンクだと胸を張る。同商品は、若い世代の目をワイン向けさせることも目的としている。蛍光色を使って大麻の葉のデザインしたボトルラベルも、若い世代へのアプローチ効果を狙ったものだ(Cnews)。
実は、フランス人のアルコール消費量は、1960年以来減少傾向にある。それでも2017年の発表によれば、経済協力開発機構加盟国34か国(調査当時)の中で6番目にアルコール消費量の多い国だ。具体的には、15歳以上の国民1人につき1年に平均11.7リットルのアルコールを消費している(フランス国立公衆衛生庁)。余談だが、この統計が15歳以上でとられているというのは面白い。というのも、フランスでもアルコール摂取は成人(18歳)になるまでは許されないはずのものだからだ。
フランス人が最も好むアルコール飲料1位は相変わらずワインだが、年代を区切るとこの限りではない。若い世代はカクテルなどに用いられる蒸留酒を最も好み(67.3%)、それにビール(63.5%)が続き、ワイン(35.9%)は3位でしかない。Burdi Wはそんな世代の目をワインに向けさせる役目を背負って誕生したというわけだ。
大麻に厳しい国、フランス
カンナビジオール(CBD)は、麻から抽出できるカンナビノイドの一種だが、いわゆる麻薬のような精神作用は持たない。それどころか「抗テンカン」「抗炎症」などの作用が認められており、2019年にはEUが、CBDを原料とする医薬品を承認している。それにもかかわらずフランスは国内でのCBD使用を禁止していたため、2019年11月、欧州司法裁判所に違法であると裁定されている。
このことからもわかるように、フランスは欧州の中でも、大麻の取り扱いに厳しい国だ。大麻は、たとえ自宅で一人で吸ったとしても、論理上は1年の懲役と3750ユーロの罰金を科せられる刑事犯罪なのだ。ただし、実際にはほとんどの場合、2019年導入された200ユーロの定額罰金制度が適用されている。大麻を栽培した場合はさらに厳しく、10年の懲役が刑法で規定されており、販売、流通、購入にかかわった場合も基本的には10年の懲役を科せられる(個人使用の場合は5年)といった具合だ(フランスアンフォ)。