韓国が怒る中国の「文化窃盗」、その3つの要因
CHINA “STEALS” KOREAN POET
昨年11月、中国の着せ替えスマホゲーム『シャイニングニキ』はその韓国版で、韓国の伝統衣装「韓服」を新しい韓国的なアイテムとして発売した。すると中国のネットユーザーが、「韓服」は漢民族の伝統衣装である「漢服」の一部だと反発。ゲーム開発会社は謝罪し、韓国でのサービスを終了した。
以後、「韓服」は中国文化の一部として中国メディアに登場した。中国の家電メーカーの小米(シャオミ)科技は、韓服を着たキャラクターをイラストにし、「中国文化」と書かれた背景画像を作った。
韓国のキムチもターゲットになった。昨年11月、キムチによく似た中国の漬物である泡菜の製造法が、ISO(国際標準化機構)から認証を受けた後のことだ。
人民日報系の環球時報は、これを「中国主導のキムチ産業が認証を受けた」と報じた。ISOはこの認証はキムチには適用されないとしたが、中国の主張によってネット上では中韓の対立が激化した。
確かに中国と韓国は古くから文化的交流があり、共通点も多い。1990年代以降、中国ではKポップや韓流ドラマの人気が高まり、韓国文化が広く受け入れられるようになった。しかし、その一方で中国が韓国を標的として「文化帝国主義」を強めているのはなぜかという疑問が湧いてくる。
尹の出自だけでなく、韓服やキムチに関する中国側の主張の根拠には、主に3つの要因が考えられる。
国家をまとめる布石として
第1は、両国の自国文化に対する認識の違いだ。韓国は自国の文化は中国とは異なると主張し、中国が文化を「盗んでいる」と見なしている。一方の中国は、中国こそが東アジア文化の中心という前提に立っている。この見方の根本は、韓国をはじめとする近隣諸国を歴史的にも文化的にも自国の末端に連なる国と見なしていた中国歴代王朝の世界観にある。
第2の要因は、国内に住む55の少数民族を「中国」というアイデンティティーに組み込む同化政策だ。中国は旧満州に約200万人の朝鮮系少数民族が住んでいることを、韓国文化に関する主張の根拠としている。