最新記事

中韓関係

韓国が怒る中国の「文化窃盗」、その3つの要因

CHINA “STEALS” KOREAN POET

2021年3月11日(木)20時45分
チェ・ソンヒョン

昨年11月、中国の着せ替えスマホゲーム『シャイニングニキ』はその韓国版で、韓国の伝統衣装「韓服」を新しい韓国的なアイテムとして発売した。すると中国のネットユーザーが、「韓服」は漢民族の伝統衣装である「漢服」の一部だと反発。ゲーム開発会社は謝罪し、韓国でのサービスを終了した。

以後、「韓服」は中国文化の一部として中国メディアに登場した。中国の家電メーカーの小米(シャオミ)科技は、韓服を着たキャラクターをイラストにし、「中国文化」と書かれた背景画像を作った。

韓国のキムチもターゲットになった。昨年11月、キムチによく似た中国の漬物である泡菜の製造法が、ISO(国際標準化機構)から認証を受けた後のことだ。

人民日報系の環球時報は、これを「中国主導のキムチ産業が認証を受けた」と報じた。ISOはこの認証はキムチには適用されないとしたが、中国の主張によってネット上では中韓の対立が激化した。

確かに中国と韓国は古くから文化的交流があり、共通点も多い。1990年代以降、中国ではKポップや韓流ドラマの人気が高まり、韓国文化が広く受け入れられるようになった。しかし、その一方で中国が韓国を標的として「文化帝国主義」を強めているのはなぜかという疑問が湧いてくる。

尹の出自だけでなく、韓服やキムチに関する中国側の主張の根拠には、主に3つの要因が考えられる。

国家をまとめる布石として

第1は、両国の自国文化に対する認識の違いだ。韓国は自国の文化は中国とは異なると主張し、中国が文化を「盗んでいる」と見なしている。一方の中国は、中国こそが東アジア文化の中心という前提に立っている。この見方の根本は、韓国をはじめとする近隣諸国を歴史的にも文化的にも自国の末端に連なる国と見なしていた中国歴代王朝の世界観にある。

第2の要因は、国内に住む55の少数民族を「中国」というアイデンティティーに組み込む同化政策だ。中国は旧満州に約200万人の朝鮮系少数民族が住んでいることを、韓国文化に関する主張の根拠としている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、FDA長官に外科医マカリー氏指名 過剰

ワールド

トランプ氏、安保副補佐官に元北朝鮮担当ウォン氏を起

ワールド

トランプ氏、ウクライナ戦争終結へ特使検討、グレネル

ビジネス

米財務長官にベッセント氏、不透明感払拭で国債回復に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたまま飛行機が離陸体勢に...窓から女性が撮影した映像にネット震撼
  • 4
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 5
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    「何も見えない」...大雨の日に飛行機を着陸させる「…
  • 8
    クルスク州のロシア軍司令部をウクライナがミサイル…
  • 9
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 10
    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中