4月1日、改正種苗法が施行 韓国の無断栽培増加が背景にあった
aTはシャインマスカットと合わせてリンゴのフジの輸出を促進している。フジは1930年代後半、青森県の農林省園芸試験場(現・農研機構)東北支場で育成された。試験場の移転に伴って原木を岩手県盛岡市に移植した後、62年に登録されたが国外登録は行っていない。
フジは、日本の収穫量の半数を占めるほか、米国、韓国、中国などでも「富士」の名前で生産されている。中国産より美味しく日本産より安い韓国産フジはシャインマスカットと同様、ベトナムをはじめとするアジアで人気があり、日本の輸出を阻んでいる。
出荷できなくなった済州島のミカン農家
いっぽう、こうした事例もある。2018年12月、済州島のミカン農家に衝撃が走った。「みはや」と「あすみ」、920トンを出荷できない事態に陥ったのだ。
済州島はミカンの産地として知られている。1964年に島を訪問した朴正熙大統領が柑橘栽培を奨励、日韓基本条約を締結した65年から増殖事業に取り組み、70年代前半には済州島農家の91%が柑橘類を栽培するまでに成長した。
済州島のミカンは94%以上が日本品種で、多くが無断栽培だ。デコボンの名で知られるシラヌイは「ハンラボン(漢拏峰)」と名付けられ、島を代表する名産となっている。
デコポンは国際条約による登録期限を過ぎているが、「みはや」と「あすみ」は2012年3月の登録品種で、2018年1月に登録を申請した韓国国立種子院から臨時保護権が認められた。
韓国農林畜産食品部と農協は、臨時保護権は種子と苗木が対象で、果実には及ばないという解釈を下して2品種の栽培を促進、300余りの農家が取り組んだ。
韓国では外国の品種保護登録は、通常、臨時保護権の2年4か月後に完了する。収穫を直前に控えた18年12月、当局が、保護登録を終える2年後に植物新品種保護法違反の刑事罰とロイヤリティが科されると農家に告知し、農協も「国際紛争や訴訟問題になる懸念がある」としてスーパーや市場での販売を禁止した。無断栽培を続けてきた韓国農業は、大きい代償を支払うことになったのである。