ネコにゆっくりと瞬きすると、ネコもゆっくりと瞬きをした......研究結果
「ゆっくりと瞬きするとネコと仲良くなりやすい」...... Elie Bitar-iStock
<人がネコと同じように、ゆっくりと瞬きすると、ネコとの絆を構築できる効果があることが明らかとなった>
ネコが目を細くしてゆっくりと瞬きをする仕草は、人の「デュシェンヌ・スマイル(本物の笑顔)」に相当するもので、ネコがリラックスをして、満足しているときによくみられる。そしてこのほど、人がネコと同じように、ゆっくりと瞬きすると、ネコとの絆を構築できる効果があることが明らかとなった。
「ゆっくりと瞬きするとネコと仲良くなりやすい」
英サセックス大学とポーツマス大学の共同研究チームは、2種類の実験を行い、ゆっくりと瞬きをする人に対するネコの反応を観察した。一連の研究成果は、2020年10月5日、オープンアクセスジャーナル「サイエンティフィック・リポーツ」で公開されている。
最初の実験では、14世帯で飼育されている計21匹のネコをそれぞれ家の中でくつろがせ、飼い主には、ネコから約1メートル離れた位置で座り、ネコが飼い主を見たときにゆっくりと瞬きをしてもらった。その結果、座っているだけのときに比べ、飼い主がネコに向かってゆっくりと瞬きをすると、ネコも飼い主にゆっくりと瞬きをした。
2つ目の実験では、別の8世帯で飼育されている計24匹のネコを対象に、これらのネコと初めて接触する研究チームのメンバーがゆっくりと瞬きをして反応を観察した。最初の実験の結果と同様に、研究チームのメンバーが無表情であったときよりも、ネコに向かってゆっくりと瞬きをしたときのほうが、ネコはゆっくりと瞬きをした。また、メンバーが無表情なときよりも、ゆっくりと瞬きをした後のほうが、ネコがメンバーに近寄ってくる傾向にあったという。
人とネコとのコミュニケーションの検証
研究論文の責任著者でサセックス大学のカレン・マッコム教授は、この研究を「人とネコとのコミュニケーションにおける『ゆっくりとした瞬き』の役割を初めて実験的に検証したものだ」と位置づけ、「ネコの飼い主の多くはすでに気づいていたことだが、その証拠を発見できたことは喜ばしい」と評価している。
「リラックスした笑顔のように目を細めてから、数秒間目を閉じてみてください。ネコも同じように反応し、一種の会話を始めることができます」
また、人がゆっくりと瞬きするとネコもゆっくりと瞬きをする理由について、筆頭著者のサセックス大学の心理学者タスミン・ハンフリー博士は、「人が『ゆっくりとした瞬き』を前向きなものと捉えたため、ネコがこの仕草を発達させた可能性がある。ゆっくり瞬きすると人からご褒美がもらえることをネコが学んだとか、凝視を中断させる手段としてゆっくりと瞬きするようになったといった説も考えられる」と述べている。