最新記事

新型コロナウイルス

新型コロナ感染、トランプはボリス・ジョンソン(重症)化するのか

Only State-of-the-Art Medicine—and Luck—Can Save Trump Now

2020年10月5日(月)18時00分
ローリー・ギャレット(米外交問題評議会グローバルヘルス担当シニアフェロー)

エボラ治療薬のレムデシビルも、重症化を避ける助けにはなるかもしれない。しかしこれも、直ちに投与しなければ効果が薄まってしまう。イギリスの医師たちが最近よく使うステロイド剤「デキサメタゾン」には、患者の免疫システムがウイルスに過剰に反応してしまうのを抑える作用がある。

だが、トランプが実年齢より若く見せようと多大な努力をし、自らの医療記録を公の目から隠してしまったせいで、トランプの身体が新型コロナウイルスに対してどんな反応をするのかを予想するのは難しい。

公共衛生の観点から言えば、トランプは厳しい隔離下に置かれなければらない。それも、症状が消えた後最低2週間は留まることが必要だ。新型コロナ感染症は、彼が数カ月前に言った通り「ただの風邪」として数日で回復する可能性もある。だが、彼の健康状態と体重と年齢を考えると、困難な戦いになる可能性も捨てきれない。

トランプの健康と周囲の安全のためには、大人数の選挙集会は中止せざるをえないだろう。10月15日にマイアミで予定されているバイデンとの討論会も無理だ。10月22日のナッシュビルでの討論会も、リモート方式などに変える必要がある。

さらにマイク・ペンス副大統領のスケジュールを見直してホワイトハウスのそばにいるようにして、トランプの容体が悪化したらすぐに職務を代行できるようにしておくべきだ。

テレビのコメンテーターやネット活動家は、トランプ感染のニュースを聞いて、新型コロナを甘く見てマスクもせずにきたから罰が下ったのだと皮肉に笑う。だが、アメリカの大統領が病に苦しんでいるのに面白いことなど一つもない。トランプは新型コロナに対して非常にリスクの高い人間だからなおさらだ。

From Foreign Policy Magazine

ニューズウィーク日本版 世界も「老害」戦争
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年11月25日号(11月18日発売)は「世界も『老害』戦争」特集。アメリカやヨーロッパでも若者が高齢者の「犠牲」に

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、エプスタイン文書の公開支持 共和党議員

ビジネス

高級ブランドのリシュモン、7―9月期は14%増収

ワールド

中国輸出規制でイットリウムが不足、新たなレアアース

ビジネス

米共和党州司法長官、ユニオン・パシフィックのノーフ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生まれた「全く異なる」2つの投資機会とは?
  • 3
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃度を増やす「6つのルール」とは?
  • 4
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 5
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国…
  • 6
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 7
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 8
    レアアースを武器にした中国...実は米国への依存度が…
  • 9
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 10
    反ワクチンのカリスマを追放し、豊田真由子を抜擢...…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中