最新記事

ペット

「5000円×36回ローンで買われた猫」を待ってた悲しい末路 犬や猫のいる生活には「100〜200万円」かかる現実

2020年10月10日(土)13時30分
阪根 美果(ペットジャーナリスト) *東洋経済オンラインからの転載

全身毛玉だらけでガリガリにやせた状態に

相談を受けた翌日、Aさんの自宅を訪れると愛猫と共に出迎えてくれました。その猫はチャッピーという名前がつけられたメインクーンの男の子でした。しかし、歩く姿はヨロヨロで今にも倒れそうです。触ると全身が毛玉だらけで、体もガリガリにやせています。

抱き上げると、とてもメインクーンの成猫とは思えない軽さ。十分な世話もしてもらえず、まだまだ成長期であるというのに満足のいくご飯ももらえていないことがすぐにわかりました。持参したフードをチャッピー君の前に置きましたが、匂いを嗅いだだけで食べようとはしませんでした。

その様子から緊急性があると判断し、まずは私が引き取り、しっかり健康診断をして、体調が整ったら里親募集をしたらどうかと提案しました。するとAさんは「自分のことで精いっぱいなので、よろしくお願いします」とすんなりと同意してくれました。

すぐにチャッピー君を連れて帰り、動物病院で診察を受けると、衰弱していることに加えて、軽い熱中症の症状、腎臓の機能も低下していたため、回復するまで入院が必要との診断を受けました。猛暑であるにもかかわらず、Aさん宅のエアコンは稼働していなかったためです。

「もう数日遅かったら確実に命を落としていたかもしれないね」と獣医師は言います。チャッピー君の状態にまだ不安はあるものの、最悪の事態になる前に保護できたことが何よりの救いでした。

「100万円を超える」犬猫の飼育費用

犬や猫の世話にかかる費用は決して安価ではありません。たとえローンで購入できたとしても、その後の飼育用品、フード代、予防接種代、医療費など生涯に必要になる費用は大きなもの。冒頭の調査結果によると、犬の生涯必要経費は超小型犬が最大で220万1448円、猫は139万1199円とされています。

超小型犬の場合は平均寿命15年とすると1カ月に約1万2200円、猫の場合は平均寿命15年とすると約7700円かかる計算になります。もし病気やケガをして医療費がかさめば、それ以上の出費となるでしょう。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

韓国尹大統領に逮捕状発付、現職初 支持者らが裁判所

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 8
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 9
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 10
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中