最新記事

韓国社会

韓国、輸出好調なコンテンツ業界に落とし穴 女性嫌悪と男性嫌悪が激突炎上

2020年8月21日(金)11時48分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

newsweek_20200821_005517.jpg

84の『復学王』より、ヒロインがラッコの真似をする場面。 YTN News / YouTube

人気web漫画家が女性差別?

一方で、web漫画での女性嫌悪表現も注目を集めている。問題になったのは、人気漫画家ギアン84(ギアンパルサ)氏が連載中の『復学王』8月11日掲載分だ。

インターン生だったヒロインが、会社の飲み会で場を盛り上げるため、お腹に乗せた貝をラッコのように割ってみせ、これを見た男性チーム長は彼女を社員に採用する。その後、チーム長は「俺は40だけどまだ結婚もしてないじゃないか」と言い、男性主人公は「寝たんですか?」と、あたかもヒロインがチーム長と性的関係をもって就職口を得たような表現を描いた。

この内容が掲載されネット上で批判が集中しだすと、韓国大統領府のWebサイトにある国民請願のコーナーに連載中止を求める請願が投稿された。読んでみると、文章内には直接的に作家の名前や作品名を出してはいないが、誰が見てもこの騒動の中心にある漫画『復学王』を指していることがわかる。

掲載元であるNEVERウェブトゥーンは、すぐに問題のカットを削除し修正したのだが、もともと漫画家のギアン84氏は、バラエティー番組『私は一人で暮らす』にレギュラー出演するなどメディアに数多く登場していた人気者であり、現在番組の公式HPに出演番組降板の要請が相次いでいるという。

差別への過剰反応は新たな差別につながる

嫌悪や差別問題に声を上げ続けることは大事だが、そこへ極端に過剰反応しはじめると逆差別につながる可能性もあるので何事もバランスが大事だ。

ゲーム業界は、今後も韓国輸出コンテンツの中で大事な稼ぎ頭になる分野だろう。また、漫画をオンラインで読むことが当たり前になり、もともとweb漫画に力を入れていた韓国は、多くの作品を翻訳し世界各国に輸出している。

世界を相手にこれからも大勢を楽しませるコンテンツを開発していくためには、男女の嫌悪や差別などで足の引っ張り合いをしている場合ではない。互いに手を取り合って、個人や会社を非難や攻撃するのではなく、問題があれば指摘して修正してもらうようにして、嫌悪などのないコンテンツ作りができる環境になることを期待したい。


【話題の記事】
・コロナ感染大国アメリカでマスクなしの密着パーティー、警察も手出しできず
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・新たな「パンデミックウイルス」感染増加 中国研究者がブタから発見
・韓国、ユーチューブが大炎上 芸能人の「ステマ」、「悪魔編集」がはびこる


20200825issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年8月25日号(8月18日発売)は「コロナストレス 長期化への処方箋」特集。仕事・育児・学習・睡眠......。コロナ禍の長期化で拡大するメンタルヘルス危機。世界と日本の処方箋は? 日本独自のコロナ鬱も取り上げる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

インフレ小幅下振れ容認、物価低迷に至らず=シュナー

ビジネス

エネルギー貯蔵、「ブームサイクル」突入も AI需要

ワールド

英保健相、スターマー首相降ろし否定 英国債・ポンド

ビジネス

ロシア、初の人民元建て国内債を12月発行 企業保有
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 2
    ギザのピラミッドにあると言われていた「失われた入口」がついに発見!? 中には一体何が?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    炎天下や寒空の下で何時間も立ちっぱなし......労働…
  • 6
    冬ごもりを忘れたクマが来る――「穴持たず」が引き起…
  • 7
    コロンビアに出現した「謎の球体」はUFOか? 地球外…
  • 8
    ファン激怒...『スター・ウォーズ』人気キャラの続編…
  • 9
    「流石にそっくり」...マイケル・ジャクソンを「実の…
  • 10
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 6
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 7
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 8
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 9
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 10
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中