最新記事

民主党大会

米民主党「バーチャル党大会」、驚きの高視聴率で政治に新時代?

Virtual Caucuses Bring in Record Digital Audiences Unseen in Past Convention

2020年8月20日(木)18時35分
エイドリアン・カラスキーヨ

副大統領候補に指名されたカマラ・ハリスもバーチャルで演説 Melina Mara/Pool via REUTERS

<これまで注目を集めることがなかった各種議員連盟の集会などを大勢の人がライブ配信で視聴した>

11月の米大統領選に向けた野党・民主党の全国大会が、8月17日に始まった。史上初めての「バーチャル党大会」となった今年、党関係者や熱心な支持者たちには不安もあったが、この結果は誰も予想していなかった。党の運営に不可欠な全米各地の支持団体からの視聴者が爆発的に増えたのだ。

ヒスパニック議員連盟のライブ配信の視聴者は1万673人、女性議員連盟は1万1039人、労働評議会は1万4176人、黒人議員連盟は1万5910人が視聴した。

2016年にフィラデルフィアで開催された民主党全国大会では、ヒスパニック議員連盟の集会の参加者は50人程度。黒人議員連盟も100人に満たなかった。

公共政策コンサルティング会社レーベン・グループ(ワシントン)の共同創業者で、ヒスパニック議員連盟の集会に参加したエストゥアルド・ロドリゲスは、「これは異例の事態だ」と語る。彼は本誌に対して、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)がその一因だと語った。

コロナ禍による新習慣

「パンデミック以前は、ヒスパニック議員連盟の主催者たちが『ミーティングはZoom(ズーム)でやります』と言っても、仕事や夏の休暇が参加の妨げになった」とロドリゲスは言う。「1万1000人もの人が視聴することはなかっただろう。だが今は多くの人が外出を自粛しており、ほかの人との交流を求めている」

民主党関係者たちは、大勢の人が全国大会に「参加」した大きな理由として、アメリカ人がこれまで以上にライブ配信に慣れつつあることを挙げた。コロナ禍によって、ライブ画面でのコミュニケーションを余儀なくされていることがその一因だ。

「ネット動画でのやり取りは今や普通のことになっている」と、民主党全国委員会の幹部(市民参加担当)であるホルヘ・ネリは本誌に語った。「2016年に同じことができたかどうかは分からない。だが今では仕事も学校も、日常生活でもバーチャルのコミュニケーションが当たり前だ」

党大会の計画立案者たちは、全米から大勢の国民が大会に参加することで、大会の透明性が高まり、民主党が誇りにしている多様性や社会の一体性への注目をさらに高めることができると言う。党大会をバーチャルにせざるを得ないことが明らかになった時点から、彼らはこれらの問題に重点を置くことを計画していた。

<参考記事>黒人女性カマラ・ハリス、実は黒人から人気がない?
<参考記事>【パックン予測】カマラ・ハリスは2024年のアメリカ大統領になる!

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル首相、反ユダヤ主義助長と豪首相を非難 ビ

ビジネス

インタビュー:プライベートデット拡大へ運用会社買収

ワールド

ウクライナのNATO加盟断念、和平交渉に大きく影響

ワールド

米ブラウン大銃撃、当局が20代の重要参考人拘束
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 5
    極限の筋力をつくる2つの技術とは?...真の力は「前…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 8
    大成功の東京デフリンピックが、日本人をこう変えた
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中