最新記事

感染症対策

陽性者急増、名古屋の医師が懸念する「市中感染」のリアル

2020年8月6日(木)19時00分
関口 威人(ジャーナリスト) *東洋経済オンラインからの転載

これから秋になって、ちょっとでも涼しくなると風邪をひく人が増えてくる。10月に入ればインフルエンザの季節で、インフルかコロナかわからない人が増えれば、クリニックでの対応は非常に厳しくなるだろう。

コロナでいちばん怖いのは、糖尿病や高血圧、心臓疾患などのリスクのある人が重症化しやすいこと。そうしたリスクのある人とコロナの患者が一緒の部屋で濃厚接触しないために、クリニックではまったく別の時間帯で診なければならないだろう。

――ハード面の整備で必要なものは。

医師会としては、今後の患者増に備えて医師会の急病センターや各区の休日診療所に陰圧テントを置けるようにしたい。患者が診療所の中に入ってしまうのではなく、外の陰圧テントの中で診療することでリスクはかなり減らせるからだ。

そのうえで、患者の血液中の白血球の数や炎症の有無を診る血液検査機器を充実させたい。白血球の数値が上がっていれば細菌性の発熱、上がっていなければウイルス性の発熱と分かるので、まずはそこを最低限のスクリーニングとして実施すれば、発熱者が増えたときに困らない。

「コロナかどうかは、抗原検査がいちばん早くわかる」

また、コロナかどうかの結果は、抗原検査がいちばん早くわかる。検査に来ても結果が1日後、2日後にしかわからなければ、その間にどんどん感染が広がってしまう。少なくとも抗原検査で陽性なら隔離など安全な措置を取り、陰性でも最終的にはPCRで検査する。そうした態勢が急病センターや休日診療所で取れなければ回していけないと市に訴えている。

検査機器などのハード自体は、それぞれお金さえ出してもらえれば手に入るもの。しかし、保険診療の改定などの制度的な問題もあるし、実際に診療に出てくるのは開業医の先生なので、人の問題もある。僕自身、今は月2回PCR検査に出向いているが、負担やリスクは常に抱えている。

――現時点でコロナを「正しく恐れる」には。

ドライブスルーのPCR検査をしながら思うのだが、タクシーに乗ったとしても、運転手と乗客がマスクをして、前後で距離を取り、窓を開けて換気していれば、仮に運転手が陽性であっても乗客の感染リスクは低い。そこで窓を締め切り、運転手と話をしながら乗っていたら濃厚接触になってしまう。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

医薬品メーカー、米国で350品目値上げ トランプ氏

ビジネス

中国、人民元バスケットのウエート調整 円に代わりウ

ワールド

台湾は31日も警戒態勢維持、中国大規模演習終了を発

ビジネス

中国、26年投資計画発表 420億ドル規模の「二大
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 5
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 6
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 7
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 8
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 9
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中