韓国の弱腰対応が北朝鮮をつけ上がらせている
North Korea’s Explosive bullying
韓国の弱腰の対応が、ビラ問題を放置したら南北関係が一段と悪化しかねないという恐怖心の表れであることは疑いの余地がない。しかし実際には、この問題が両国関係に影響を及ぼすことを示す根拠はほとんどない。
過去1年ほどの間に、北朝鮮は韓国への敵意を一段と募らせてきた。南北共同連絡事務所への関与を減らし、短距離ミサイル発射実験を再開させ、金剛山観光地区に韓国が建設したホテルなどの撤去を求め、大小さまざまな理由で韓国を批判してきた。
アメリカと国連による北への経済制裁が続くなか、韓国には南北の経済協力を推し進めるだけの力はない、と金政権は判断したように見える。つまり、ビラ散布をめぐる対立は南北関係を悪化させた原因ではなく、韓国を攻撃するための最新の口実にすぎない。北朝鮮は韓国の裏切りや忠誠心を、関係悪化の便利な言い訳として利用しているのだ。
残念ながら、下手に出る韓国のアプローチは関係改善には結び付かないだろう。韓国側には、金与正が本音では対話の再開を希望しているとの見立てもあったが、その臆測は打ち砕かれた。韓国がどれだけ北朝鮮の指示に従っても、永遠の片思いに苦しみ続けるだけだ。
ビラ散布を禁止するという早急な韓国政府の決定は、数々のマイナスの影響をもたらすだろう。まず、文政権は自国政府の威信と市民の自由を犠牲にした。これは重大な問題だ。
また、韓国は自らの影響力をみすみす手放したことにもなる。北朝鮮は自国民に直接プロパガンダが届くことを恐れているのだから、韓国はそうした活動を禁じるのではなく、むしろ奨励すべきだ。その上で、2国間対話の再開に応じるのなら、この問題について話し合う用意がある、と伝えればいい。
兄妹の矛盾を批判すべき
さらに、北朝鮮の要求に迅速に応じたことによって、北による「弱い者いじめ」をさらにエスカレートさせるという悪影響もある。南北共同連絡事務所の爆破が、そのいい例だ。北朝鮮は必ず、近いうちに再び韓国を試すような行為を仕掛けてくるだろう。
逆に、一歩も引かない姿勢で北に対峙していれば、北朝鮮の傲慢な態度を罰することができたはずだ。最高指導者の妹がこの問題の対応に当たっているという事実は、北の国内事情を反映しているのかもしれない。おそらくは、彼女の指導者としての信用を高めるためにタフさをアピールしたいという事情があったのだろう。韓国が強気の姿勢を貫いていれば、北朝鮮の脅しが失敗に終わったこと、そして、文政権には北の政治的小道具になる気がないことを明確に示せただろう。
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