コロナ禍で疲弊したインド農家を、非情なバッタの大群が襲う
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ただし殺虫剤の散布は逆効果になりかねないという声が、農家から聞こえている。「経験から言えば、こうした化学薬品は作物を傷つけるだけでなく、バッタを避ける助けにもならない」と、ウッタルプラデシュ州で農業を営むジャグデシュ・プラカシュは言う。「そもそもコロナ禍で苦しい時期に、バッタ対策の費用をやりくりするのは無理。全くのお手上げだ」。彼のサトウキビ畑は昨年、バッタの被害でほぼ死に絶えた。
なぜバッタが大発生しているのか。気象の専門家によれば、地球の気候変動が影響している可能性がある。デリーに本拠を置くNPOの科学・環境センターが2月にラジャスタン州で主催した会議では、バッタの拡散の原因は気候パターンの変化や野生生物の生息圏が狭くなっていることだと、気象の専門家が指摘した。
サバクトビバッタの専門家であるアニル・シャルマは、バッタの大量発生は以前から見られた現象だとしながら、現在の襲来は前例のない「疫病のようなもの」だと言う。シャルマは2月の会議で、2018年5月に起きたサイクロンによって、雨水がサウジアラビアやオマーン、アラブ首長国連邦、イエメン一帯の砂漠に滞留し、サバクトビバッタ繁殖の温床となった仕組みを発表した。2018年10月にアラビア半島を襲ったサイクロンも、バッタの大発生に拍車を掛けたという。
こうして大群となったバッタは餌を求めて東に移動し、パキスタンとインドに接近し、一帯に甚大な被害を与えた。「大群は急激に発生する。分厚い影になり、太陽の光まで遮ることがある」と、シャルマは言う。
「バッタ危機」への即効薬はない。確かなのは、農薬散布やドローンによる対策といった「対症療法」だけでなく、根本的な対応が必要だということ。例えば地球温暖化との闘いであり、そのための技術の開発だ。
金と手間のかかるプロセスではある。国際協調が欠かせないが、何としてもやり抜かなくてはならない。さもないと、多大なツケを支払い続けることになる。このバッタ危機が既に示しているように。
From thediplomat.com
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