最新記事

韓国社会

韓国サッカーKリーグ客席にラブドール 問題は人形の種類だけでなかった

2020年6月4日(木)21時38分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

愛らしいマネキンと思ったら......

球場のN席と呼ばれる北側の客席に、ユニフォームや応援グッズを手にしたマネキン約30体を座らせ、チームの広報が「まるでサポーターたちが本当に応援している姿のようです」と言うコメントと共にSNSに投稿すると、それを観た一部のファン達が騒ぎ出した。数体のマネキンが身に着けていた小物に、アダルトグッズ業者の名前やロゴが記入されていたのだ。

騒ぎが発覚し調べてみると、マネキンの30体中10体が人形との性行為用に作られた「ラブドール」だった。日本では俗に「ダッチワイフ」とも呼ばれているが、欧米や韓国では「リアルドール」という名称が一般的だ。マネキンを発注した業者もこの事実を認め、より多くのマネキンの確保のため、ラブドールを混ぜて設置したと明かした。

Kリーグ史上最高の罰金

発端となった日から3日後の20日には、韓国プロサッカー連盟がFCソウルに対し、処罰として1億ウォンの罰金を命じている。この罰金額がどの程度かと言うと、Kリーグの歴史上最高額であり、4年前に全羅北道ヒョンダイチームが、勝つために審判を買収していた事件の罰金と同額である。

成人用品を観客席に設置したことに対して考えると、かなり重い処罰を下したと言える。他にも、性商品関連会社だと確認せずに、この納品会社をFCソウルに紹介した韓国プロサッカー連盟の職員も減俸3ヶ月の処分を受けている。

このように、素早い対応で厳重な処罰を下した理由は大きく分けて二つある。まず、一つ目は、この事件をイギリスのThe SUN誌とYahoo!が面白おかしく世界に報道したからだ。

韓国人は日本人と同様に海外の目を気にする一面がある。国内で起こった事件を報道する時、「海外ではどのように自国のこの事件を報道されたか」を紹介する。これは日本も同じなのだが、両国とも体面を気にする文化が根付いているだろう。韓国は、今回のこの騒動を海外でこのまま笑いものとして拡散される前に、素早く対処しようとしたのだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国尹大統領に逮捕状発付、現職初 支持者らが裁判所

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 8
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 9
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 10
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中