「コロナ疲れ」浮き彫りに、専門家が対策呼びかけ──英調査
一方で、こうした不安の中、心の健康を保つために多くの人が実行していると挙げたのは、友達や家族と定期的に(多くの場合は、オンラインで)連絡を取り合うことだった。また、ボランティア活動など他者を助ける活動をしながら、人とつながりを保つという回答もあった。
そのほか、趣味や運動に没頭して気を紛らわす、瞑想する、ペットに助けられている、という声もあった。また、先行きが不安な状況の中、何かしらの目的意識を保つために、仕事が大切だと言う人も少なくなかったようだ。
「デジタル時代のツールを活用した治療法が必要」
同論文の執筆者の1人である英グラスゴー大学のロリー・オコナー教授は発表文の中で、「もしこのまま何もしなければ、不安症やうつなどの心の病や、アルコール中毒や薬物中毒、ギャンブル、ネットいじめといった問題行動、さらには人間関係の破綻やホームレスといった社会問題が増える危険性がある」と警告した。
論文は、こうした不安やストレスから、自傷行為や自殺が増えるリスクもあると指摘。しかし新型コロナからの精神面への影響を軽減する取り組みがあれば、自殺は避けられないものではないとしている。そのため、不安、うつ、自傷行為、自殺、その他心の問題について、リアルタイムでの評価や、アプリやインターネットを使ったデジタル技術による介入の必要性を専門家らは訴えている。
専門家らは特に、医療従事者や高齢者、心の問題を抱えている人たちのメンタル面を優先的にサポートする必要があるとの考えを示した。
新型コロナウイルスに関してこれまで行われた研究の中で、精神面への影響について調べたものはあまりないという。論文の中で専門家らは、研究者などに資金を提供する機関に対し、こうした研究を行うための調整グループを立ち上げるために、研究者らに協力するよう訴えている。