最新記事

新型コロナウイルス

日本におけるPCR検査の拒否状況

2020年4月9日(木)16時30分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

アメリカの感染者が爆発的に増えた理由には諸々あるだろうが、初期段階でPCR検査に失敗したことが大きな要因の一つとなっている。

世界に冠たるアメリカのCDC(疾病予防管理センター)は、2月5日にPCR検査キットの配布を開始したが、ほどなく検査キットの多くに異常が見つかった。試薬が汚染されたためだという。そのため全米で開始したPCR検査のサンプルをCDCに送り返す結果となってしまった。

この失敗は、あまりに大きい。

4月9日時点でアメリカの感染者は43万人を超えたという。

外務省の関連サイトには世界各国の感染者のグラフがあるが、4月8日時点のデータを見ただけでもアメリカの感染爆発がどれほど激しいかが分かる。見るだけでも心が痛む。

この原因の一つは初期段階のPCR検査の失敗にあったことを、日本は注目しなければならない。

奇しくも日本の緊急事態宣言実施が始まった4月8日、武漢は封鎖解除に踏み切った。ピークは過ぎ安定状態に入ったことが確認された証拠だが、中国がここに至ることができたのは、3月18日付けコラム<中国はなぜコロナ大拡散から抜け出せたのか?>で述べたように、それはひとえに感染病や免疫学の最高権威である鍾南山氏の「早期発見、早期隔離」という絶対に譲らない警告を実行したからである。

4月8日、フランスからマスクを購入するための輸送機のパイロットが中国の空港に着地した瞬間、非常に厳しい検疫を受け、PCR検査で陽性が判明したというニュースが流れた。パイロットは2週間の隔離になり、1600万枚のマスクをフランスに輸送することができなくなったそうだ。

それくらい、中国におけるPCR検査隔離は厳しく、厳しい国は感染が収束し、厳しくない国(および失敗した国)は感染が拡大するということの証しと考えていいだろう。

日本が一刻も早くPCR検査の増強を実現してくれることを願ってやまない。

習近平(国家主席)が「人類に危機をもたらしている真犯人である」ことに変わりはない。その責任はコロナが終わった時に全世界が追求しなければならないが、今は日本国民がコロナから脱出できるようにするために国民が一体となって努力するしかない。そのためなら、脱出に持って行った鍾南山の警告「ともかく検査を!」も耳を傾ける価値があり、また検査が成功するか否かによって感染拡大が左右されている「現実」に注目する必要があるのではないだろうか。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

Endo_Tahara_book.jpg[執筆者]遠藤 誉
中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。中国問題グローバル研究所所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『激突!遠藤vs田原 日中と習近平国賓』(遠藤誉・田原総一朗、実業之日本社)、『米中貿易戦争の裏側 東アジアの地殻変動を読み解く』、『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『卡子(チャーズ) 中国建国の残火』、『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』『中国がシリコンバレーとつながるとき』など多数。

この筆者の記事一覧はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

日本の相互関税24%、トランプ氏コメに言及 安倍元

ビジネス

焦点:トランプ関税で世界経済は一段と地盤沈下か、国

ビジネス

日経平均は急反落、一時1600円超下落 予想以上の

ワールド

トランプ米大統領の相互関税、日本は24% 全ての国
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台になった遺跡で、映画そっくりの「聖杯」が発掘される
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 7
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 8
    博士課程の奨学金受給者の約4割が留学生、問題は日…
  • 9
    トランプ政権でついに「内ゲバ」が始まる...シグナル…
  • 10
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 7
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 8
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 9
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中