最新記事

月探査

約50年にわたる月探査の集大成:月の統合地質図が初めて作成される

2020年4月27日(月)16時30分
松岡由希子

アポロ計画以降の研究活動の集大成 NASA/GSFC/USGS

<アメリカ地質調査所(USGS)は、NASAやアメリカ月惑星研究所(LPI)との恊働で作成した世界初の「月の統合地質図」を発表した......>

アメリカ地質調査所(USGS)は、2020年4月20日、アメリカ航空宇宙局(NASA)やアメリカ月惑星研究所(LPI)との恊働で作成した世界初の「月の統合地質図」を発表した。オンラインで公開されており、無料でダウンロードできる。


「アポロ計画」以来、約50年にわたる月探査や研究活動の集大成

この地質図は、1961年から1972年までのNASAの「アポロ計画」で得た情報に、NASAの月周回無人衛星「ルナー・リコネサンス・オービター(LRO)」が収集した地形データや宇宙航空研究開発機構(JAXA)の月周回衛星「かぐや」が測定した標高データを統合したものだ。地理情報システム(GIS)ソフトウェアを用い、ひとつの地図としてつなぎ合わせることに成功した。

縮尺500万分の1で、月面のクレーターやクレスト(背斜冠)、割れ目、尾根、断層などの位置が表わされている。また、アメリカ地質調査所では、この地質図において、月の岩石層の統一的記述を定め、従来、地図ごとに齟齬があった岩石の名称や記述、年代を標準化している。

merc_Unified_Geologic_Map.jpgNASA/GSFC/USGS

この地質図は、年代や地形分類によって色分けされている。たとえば、ピンク色で表示されているのは38億5000万年前から38億年前のインブリム代のクレーターであり、黄色で表示されているのは11億年前以降のコペルニクス代にできたクレーターだ。

今後のミッションの計画策定に役立つ

この地質図は、「アポロ計画」以来、約50年にわたる月探査や研究活動の集大成ともいえる。今後の月探査ミッションの計画に活用され、月の歴史の解明にも役立てられるだろう。

NASAでは、現在、2024年までに月面有人探査を目指す「アルテミス計画」をすすめている。かつてNASAの宇宙飛行士を務めていたアメリカ地質調査所のジム・レイリー所長は「NASAの今後のミッションの計画策定に役立つものをアメリカ地質調査所が創出したことは素晴らしい」と、「月の統合地質図」の成果を高く評価している。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ米大統領、代替関税率を10%から15%に引

ビジネス

エヌビディアやソフト大手の決算、AI相場の次の試金

ワールド

焦点:「氷雪経済」の成功例追え、中国がサービス投資

ワールド

焦点:米中間選挙へ、民主党がキリスト教保守層にもア
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 2
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体には濾過・吸収する力が備わっている
  • 3
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官が掲げる「新しいスパイの戦い方」
  • 4
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 5
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 6
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 7
    ロシアに蔓延する「戦争疲れ」がプーチンの立場を揺…
  • 8
    「窓の外を見てください」パイロットも思わず呼びか…
  • 9
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 10
    揺れるシベリア...戦費の穴埋めは国民に? ロシア中…
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 3
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワートレーニング」が失速する理由
  • 4
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 5
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 6
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 7
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 8
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 9
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したス…
  • 10
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中