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新型コロナウイルス治療の人工呼吸器が世界的不足 軍も協力し増産態勢

2020年3月28日(土)10時16分

自動車メーカーまで動員

イタリア、英国、米国を含む国々では、人工呼吸器を増産するため、自動車メーカーや航空宇宙メーカーの協力を得ようとしている。各国当局は、大規模メーカーならば、一部の工場を転用し、3Dプリンター技術を含むデジタル設計能力を生かして、不足が予想される必要不可欠な医療機器を補うことができるのではないかと期待している。

英国では、政府がその他のメーカーにも目を向けている。スポーツカー製造事業を含むコングロマリットであるマクラーレン・グループでは、簡易型の人工呼吸器を設計する方法を検討中だ。また日産自動車は、既存の人工呼吸器メーカーの支援に向けて他社と協調しつつある。

20日、英国は、複数のエンジニアリング企業が救急用人工呼吸器の試作機を完成させ、翌週には認可が得られる見込みであると発表した。「生産可能な台数はすべて必要になるし、買い上げる予定だ」とマット・ハンコック英保健相は言う。

英国政府は、予備の人工呼吸器を約8000台に積み増したと述べている。英国民保健サービス(NHS)のトップは議会委員会において、今後数週間で1万2000台弱まで増やせると予想している、と説明した。

国境という壁

米国の人工呼吸器メーカー、レスメドのミック・ファレルCEOは、通常の4倍以上に達している需要に対応するため、他の機器の生産からリソースを振り向けたと話している。

1つ問題なのは、新型コロナウイルスの拡散を食い止めることを意図した渡航制限である。これによって、隣国マレーシアの労働者を多数雇用している同社シンガポール工場に影響が出ている。ファレルCEOによれば、レスメドは、マレーシアの労働者がシンガポールに入国できるようマレーシア政府に直訴したという。

全米病院協会のナンシー・フォスター副会長によれば、旧式の人工呼吸器を復活させることを検討している。まだ機能するのに、現代の電子記録システムと接続できないという理由で交換されてしまったものだ。また、国防総省からは2000台の人工呼吸器が寄贈されたという。「各病院では、麻酔を行うための機器を人工呼吸器に転用することも検討している」と同副会長は言う。

米ジョンズ・ホプキンス医療安全保障センターがまとめた調査によれば、米国全体では約16万人に人工呼吸機能を提供できる機器があるという。だが、新型コロナウイルスによる被害が最も大きい州では、現在、人工呼吸器の追加を緊急に求めている。たとえばニューヨーク州では、現在用意されている約5000―6000台をさらに増やしたいとしている。アンドリュー・クオモ州知事は、手持ちの数では、潜在的な需要の5分の1にしか対応できないと述べている。

ワシントン州ボセルで持ち運び可能な人工呼吸器を製造するベンテック・ライフ・システムズのクリス・キプルCEOは、「全国的なニーズがどれくらいあるかは実際のところ誰にも分からない。COVID-19がどこまでひどくなるかに掛かっている」と話す。

「本当に深刻なパンデミックになったら、ワクチンが開発されるまでのあいだ、命を救うために人工呼吸器の供給に注力せざるをえないことになるだろう」

(翻訳:エァクレーレン)

*文中の文字を一部修正して再送します。

John Miller Elvira Pollina

[チューリッヒ ロイター]


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