最新記事

映画

韓国シム・ウンギョン、日本アカデミー賞で最優秀主演女優賞 日本映画の新人は芸歴17年の「カメレオン」女優

2020年3月14日(土)18時00分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

「映画の力」が政治すら動かす韓国

韓国では社会派エンターテインメント系映画はもはや一つのジャンルと言っていいほど多く作られている。それらの作品には、今人気の俳優たちが多く出演し、映画館でちゃんとヒットするようにエンターテイメントとして成り立っている。

また、多くの人が映画を観ると、それが世論を巻き込む問題提起となって裁判が再審議された例や、法までも動かすことがある。

有名な例でいえば、聴覚障害者学校で実際に起こったろうあ児童に対する性的虐待事件を描いた映画『トガニ 幼き瞳の告発』は、映画公開後にトガニ法と呼ばれる障がい者や児童に対する虐待を取り締まる法律が制定されたほどだ。

韓国の映画人たちはこうした映画が社会を動かすことを「영화의힘(映画の力)」と呼び、その力を信じ信念をもって作品作りに励んでいる。

シム・ウンギョン=カメレオン?

さて、今回の受賞のニュースで初めてシム・ウンギョンの名前を知った人もいるのではないだろうか? 1994年生まれの彼女はまだ25歳だ。韓国では2003年に日本でも大ヒットした歴史ドラマ『宮廷女官チャングムの誓い』で子役デビュー。そして2006年やはり歴史ドラマ『ファン・ジニ』では、主人公の幼少期を見事に演じその年のKBS演技大賞で青少年演技賞を受賞するなど、幼いころからその演技力はすでに定評があった。

今回の『新聞記者』ではシリアスな落ち着いた演技を見せているが、出演した作品にはサスペンスからコメディータッチな作品まで幅広く、どんな演技も可能な実力派「カメレオン」女優である。

日本でも公開された映画『サニー 永遠の仲間たち』での、霊が乗り移ったふりをして喧嘩相手を怖がらせるシーンや、『新感染 ファイナル・エクスプレス』で、車内で初めてのゾンビ感染者を演じたシーンなどは強く印象に残っている。

また主演作『怪しい彼女』では、当時20歳前後だったにもかかわらず、外見は20代だが心は70歳のお婆さんという役を見事に演じきった。ドラマでは、日本の『のだめカンタービレ』韓国リメイク版で、主人公「のだめ」にあたる「ソン・ネイル」役を演じて話題となっている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ米大統領、29─30日に訪韓=韓国当局者

ビジネス

日経平均は続伸、政治不安後退で「高市トレード」再開

ビジネス

マクロスコープ:増える苦学生、食費・家賃上昇が生活

ビジネス

TSMC、第3四半期39%増益で過去最高 AI需要
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 2
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道されない、被害の状況と実態
  • 3
    「欧州最大の企業」がデンマークで生まれたワケ...奇跡の成長をもたらしたフレキシキュリティーとは
  • 4
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に…
  • 5
    イーロン・マスク、新構想「Macrohard」でマイクロソ…
  • 6
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 7
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 8
    【クイズ】アメリカで最も「死亡者」が多く、「給与…
  • 9
    【クイズ】サッカー男子日本代表...FIFAランキングの…
  • 10
    「中国に待ち伏せされた!」レアアース規制にトラン…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 7
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 8
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 9
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 10
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
  • 10
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中