最新記事

アメリカ経済

米コロナ失業1600%増の阿鼻叫喚、雇用統計に注目

Colorado Sees 'Unprecedented' 1600% Surge in Unemployment Applications

2020年3月19日(木)14時25分
シェイン・クラウチャー

9.11やリーマン・ショックの後にもなかった現象 Lucy Nicholson-REUTERS

<コロラド、ニューヨークなどの各州で、失業保険申請のサイトダウンが相次ぐ異常事態。統計は今日発表>

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)により、米経済は大きな打撃を受けて深刻な景気後退に直面している。コロラド州では失業保険の申請件数が「前例のないほど」急増し、同州労働局のウェブサイトがダウンした。

コロラド州労働局は3月17日、新型コロナのあおりで一夜にして仕事を失った人々が失業保険を申請しようと殺到したため、同局のウェブサイトがクラッシュしたと声明で述べた。

声明によれば、3月7日には400件だった失業保険の申請件数が、17日には6800件を上回った。10日間で1600%の増加だ。同労働局は、「システムのメンテナンスを行って」大量の需要に対応していると説明した。

同労働局のシャー・ハービンド報道官は地元メディアのKDVRに対して、「2008年のリーマン・ショック後の深刻な景気後退の時でさえ、これほど短期間に申請者が急増したことはなかった」と語った。「前例のない事態だ」

雇用削減は観光関連から飲食・小売りなど幅広い業種にわたっている。ハービンドは失業者に対し、別の業界でパートタイムの仕事をすることを検討するよう促しているという。「配送や物流、輸送、ヘルスケア、食料品店などの小売りや倉庫などの業界では、まだ人材が不足している」

100万人が失業の可能性も

コロラド州と同様にニューヨーク州でも16日、失業保険の申請が殺到して同州労働局のウェブサイトがダウンした。同州労働局のディアナ・コーエン報道官はニューヨーク・タイムズ紙に対して、「失業保険の申請件数が、9.11同時テロ後に匹敵するペースで急増している」と語った。

レジスター・ガード紙とWDRBの報道によれば、オレゴン州とケンタッキー州でも同じくオンラインシステムに問題が生じたという。

雇用悪化の全体像は、すぐにも明らかになる。米労働省は毎週木曜日に前週の新規失業保険申請件数を発表しており、次の発表は19日朝。新型コロナウイルスの感染拡大の影響により収益を圧迫され、多くの企業が人員削減を行っているため、19日発表のデータは、労働市場が大きな問題に直面している最初の兆候を示すものになるかもしれない。

ドナルド・トランプ米大統領の経済諮問委員会の前委員長であるケビン・ハセットは、CNNの金融ニュースサイトに対して、4月の新規失業者数は100万人にのぼる可能性もあり、「雇用統計の数字は、これまでで最悪レベルの落ち込みになるだろう」との見方を示した。

<参考記事>世界経済を狂わせる新型コロナウイルスの脅威──最大の影響を受けるのは日本
<参考記事>迷信深い今のアメリカは新型コロナウイルスに勝てない?

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、ABCの免許取り消し要求 エプスタイン

ビジネス

9月の機械受注(船舶・電力を除く民需)は前月比4.

ビジネス

MSとエヌビディア、アンソロピックに最大計150億

ワールド

トランプ政権の移民処遇は「極めて無礼」、ローマ教皇
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 4
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    「嘘つき」「極右」 嫌われる参政党が、それでも熱狂…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「日本人ファースト」「オーガニック右翼」というイ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中