最新記事

感染症

新型コロナ、類似ウイルスのSARSよりインフルに近い特徴

2020年2月20日(木)11時09分

新型コロナウイルスに感染した患者を調査した中国の研究者の報告で、新型ウイルスには重症急性呼吸器症候群(SARS)など類似のウイルスよりも、インフルエンザに近い特徴があることが分かった。写真は新型コロナウイルスのコンピューター合成画像。NEXU Science Communication提供(2020年 ロイター)

新型コロナウイルスに感染した患者を調査した中国の研究者の報告で、新型ウイルスには重症急性呼吸器症候群(SARS)など類似のウイルスよりも、インフルエンザに近い特徴があることが分かった。当初の想定より容易に感染が広がる可能性があることを示唆する結果となった。

中国広東省の研究者らが19日、米臨床医学誌「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」で論文を発表した。

新型ウイルスに感染した患者18人の鼻と喉から採取した検体を調査したところ、少なくとも1人の患者は、ウイルスが確認されたにもかかわらず症状はなく、無症状の患者からの感染を巡る懸念を裏付ける格好となった。

また、SARSでは下気道の深い部分で感染が起き、肺炎の原因となるが、新型ウイルスは上気道と下気道のいずれにも存在し、肺炎を引き起こすだけでなく、インフルエンザや風邪のように容易に広がる可能性があるという。

研究者らは患者18人のウイルスの量を調べた。1人は鼻と喉に中程度の量のウイルスが確認されたが、症状は全くなかった。

ウイルスの量、無症状の患者と症状のある患者は同じ程度

症状があった残りの17人については、症状が最初に出てから間もなくウイルスが増加し、喉より鼻に多く存在することが分かった。これはSARSよりインフルエンザに近い特徴という。

また、無症状の患者のウイルスの量は、熱などの症状のある患者と同様だったという。

米メイヨー・クリニックのウイルス・ワクチン研究者グレゴリー・ポーランド氏は、研究結果について「新型ウイルスが上気道から飛散する可能性があり、無症状の人から飛散していることを示すものだ」と述べた。

また、スクリップス・リサーチの免疫学者クリスチャン・アンダーセン氏は、新型ウイルスが遺伝学的にSARSに類似しながら、感染の広がり方はインフルエンザにより近いことを裏付ける結果だと指摘した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20200225issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年2月25日号(2月18日発売)は「上級国民論」特集。ズルする奴らが罪を免れている――。ネットを越え渦巻く人々の怒り。「上級国民」の正体とは? 「特権階級」は本当にいるのか?

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

歳出最大122.3兆円で最終調整、新規国債は29.

ワールド

トランプ政権、元欧州委員ら5人のビザ発給禁止 「検

ワールド

米連邦地裁、H─1Bビザ巡る商工会議所の訴え退ける

ワールド

米東部の高齢者施設で爆発、2人死亡 ガス漏れか
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者・野村泰紀に聞いた「ファンダメンタルなもの」への情熱
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 5
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 6
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 7
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 8
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 9
    なぜ人は「過去の失敗」ばかり覚えているのか?――老…
  • 10
    楽しい自撮り動画から一転...女性が「凶暴な大型動物…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 9
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 10
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中