最新記事

コロナウイルス

中国、新型コロナウイルスの1日当たり死者最多に 感染ペース再び3000人台へ上昇

2020年2月10日(月)13時10分

中国の国家衛生委員会(NHC)の発表によると、中国本土の新型肺炎による死者は9日時点で97人増え908人、感染者は3062人増の4万0171人に達した。写真はマスクやゴーグルを身に着けた市民。2月9日、上海で撮影(2020年 ロイター/Aly Song)

中国では10日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて政府が実施していた企業活動や移動の制限が一部緩和され、労働者が徐々にオフィスや工場に出勤を始めた。新型コロナウイルス感染による死者は900人を超えた。

中国の国家衛生委員会(NHC)の10日の発表によると、中国本土の新型肺炎による死者は9日時点で97人増え908人、感染者は3062人増の4万0171人に達した。9日に死亡した97人は、1日当たりの死者としては12月に湖北省武漢市でウイルスが確認されて以降で最多となった。

新たな感染者は8日、2月2日以降で初めて3000人を下回ったが、9日には再び3000人を超えた。

湖北省では、9日時点で死者は91人増えて871人、新たな感染者は2618人だった。同省武漢市で9日に死亡した人は73人。

中国当局は企業に対し、1月末までの予定だった春節(旧正月)休暇を最長10日間延長するよう指示していた。

10日も多くの職場は閉鎖が続いており、引き続き在宅勤務する労働者も多い。

通常なら多くの人が利用する北京の地下鉄もほとんど乗客が見られない状況で、通勤ラッシュの時間帯に見られた数少ない乗客は皆マスクを着用していた。

湖北省の教育当局は、少なくとも3月1日までは学校を閉鎖すると発表した。共産党紙の人民日報が9日に報じた。

このほか、広東省、安徽省、浙江省、黒竜江省、江蘇省、山東省、河北省、江西省、内モンゴルや、上海市、重慶市なども月末まで学校を閉鎖するとしている。

中国財政省は9日、中央省庁や地方政府が新型コロナウイルスによる肺炎対策のため、8日午後時点で計718億5000万元(102億6000万ドル)を割り当てたと発表した。

一方、財政省はウェブサイトに掲載した声明で、国民がウイルス検査や治療を受けられるよう同省として資金を投入する方針を表明した。同省はまた、資金は全ての地域で新型肺炎対策が金銭的制約のために阻まれることのないよう使われるとした。

世界保健機関(WHO)は9日、新型コロナウイルスの調査に向けた専門家チームの先遣隊を中国に派遣したと発表した。

WHOのテドロス事務局長は1月28日、中国の習近平国家主席と北京で会談し、専門家チーム受け入れへの協力を約束されていたが、先遣隊派遣まで2週間近く要した。先遣隊は、カナダの伝染病学者ブルース・エールワード博士が率いる。

8─9日の週末には、武漢市で新型コロナウイルス感染により米国人が死亡、感染の疑いで日本人男性が死亡した。

新型コロナウイルス感染による死者は2002─03年に世界的に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)の死者数を上回った。

関連当局の発表に基づくロイターの集計によると、中国本土以外では少なくとも27カ国・地域で330人以上の感染が確認されている。中国本土以外での死者は2人となっている。

*内容を追加しました。

[北京/上海 10日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20200218issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年2月18日号(2月12日発売)は「新型肺炎:どこまで広がるのか」特集。「起きるべくして起きた」被害拡大を防ぐための「処方箋」は? 悲劇を繰り返す中国共産党、厳戒態勢下にある北京の現状、漢方・ワクチンという「対策」......総力レポート。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

MAGA派グリーン議員、トランプ氏発言で危険にさら

ビジネス

テスラ、米生産で中国製部品の排除をサプライヤーに要

ビジネス

米政権文書、アリババが中国軍に技術協力と指摘=FT

ビジネス

エヌビディア決算にハイテク株の手掛かり求める展開に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生まれた「全く異なる」2つの投資機会とは?
  • 3
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃度を増やす「6つのルール」とは?
  • 4
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 5
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 6
    レアアースを武器にした中国...実は米国への依存度が…
  • 7
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 8
    反ワクチンのカリスマを追放し、豊田真由子を抜擢...…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中