最新記事

地球温暖化

「環境難民」を政府は追い返せない──国連人権理事会

Climate Refugees With Credible Fears Cannot Be Turned Away: United Nations

2020年1月21日(火)15時15分
シャンタル・ダシルバ

「国や国際社会が断固たる努力を行わなければ、気候変動の影響を受けている国の人々は、国連人権規約の第6条(生存権)または第7条(拷問や残虐な刑の禁止)で認められた権利を侵害される可能性がある。そうなれば、迫害を受ける危険がある国に難民を送還してはならないとするノン・ルフールマンの原則が適用される」

アムネスティ・インターナショナルの調査員であるケイト・シューツは、「人権理事会のメッセージは明白だ」と言う。「太平洋島しょ国は、国が水没するのを待たずして、市民の生存権を守る責務を果たすべきということだ」

人権理事会の判断は、将来、気候変動が人々に地球規模の移動を強いることになるかもしれないという警告でもある。

「すべての国々には、気候変動のために住む場所を失った人々を守る人道上の責務がある」と、アムネスティ・インターナショナルは言う。「そのためにはまず、気温の上昇を産業革命前の水準から1.5℃以内におさめる行動を起こすことが不可欠だ」

シューツは、太平洋島しょ国は「気候変動が原因の移住問題における『炭鉱のカナリア』だ」と言う。

「キリバスやツバルのような島しょ国は、海抜がわずか1メートルか2メートルしかない」「そこでは居住可能な土地や飲料水が手に入りにくくなるなど、気候変動の影響で必要最低限の生活もできなくなりつつある。各国政府はこの現実と、温暖化が太平洋地域の人々の生命と生活に及ぼしている差し迫った脅威について、よく考えるべきだ」

(翻訳:森美歩)

20200128issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年1月28日号(1月21日発売)は「CIAが読み解くイラン危機」特集。危機の根源は米ソの冷戦構造と米主導のクーデター。衝突を運命づけられた両国と中東の未来は? 元CIA工作員が歴史と戦略から読み解きます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米1月求人件数、694.6万件で予想上回る 採用は

ワールド

米国防長官、イラン報道でCNNを批判 トランプ氏朋

ビジネス

米GDP、25年第4四半期改定値0.7%増 速報値

ワールド

EXCLUSIVE-イラン、インド船籍ガスタンカー
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製をモデルにした米国製ドローンを投入
  • 2
    ショーン・ペンは黙らない――「ウクライナへの裏切りは常軌を逸している」その怒りの理由
  • 3
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド太平洋防衛
  • 4
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 5
    「イラン送りにすべき...」トランプ孫娘、警護隊引き…
  • 6
    有人機の「盾」となる使い捨て無人機...空の戦いに革…
  • 7
    「映画賞の世界は、はっきり言って地獄だ」――ショー…
  • 8
    『ある日、家族が死刑囚になって』を考えるヒントに…
  • 9
    北極海で見つかった「400年近く生きる生物」がSNSで…
  • 10
    謎すぎる...戦争嫌いのMAGAがなぜイラン攻撃を支持す…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 6
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 7
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 8
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 9
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 10
    ショーン・ペンは黙らない――「ウクライナへの裏切り…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中