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感染症アメリカで初の新型肺炎患者 WHOは「緊急事態」宣言か
First U.S. Case of Coronavirus From China Identified in Seattle, Washington
世界に広がる新型ウイルスの脅威(写真は1月21日、クアランプール国際空港の検疫) Lim Huey Teng-REUTERS
<急激に広がる新型肺炎、WHOが緊急委員会を開く前日に、アメリカで初の感染例が確認された>
中国湖北省武漢市を中心に発症が相次ぐ新型コロナウイルスによる肺炎は、タイ、韓国、日本などへと広がって、このたびアメリカでも感染者が確認された。
米疾病対策センター(CDC)の広報担当者は1月21日(現地時間)、ロイターの取材に対し、中国からワシントン州シアトルに到着した人物が、新型コロナウイルスに感染していた、と語った。アメリカでこのウイルス感染が確認されるのは初めてだ。世界保健機関(WHO)は22日にも、このウイルスの流行が国際的な「緊急事態」の要件を満たすかどうかを判定するための委員会開催を準備している。
WHOによると、「2019-nCoV」という名のこの新型コロナウイルスは、過去に人間への感染例がなかった株で、肺炎の一種を引き起こす。このウイルスの遺伝情報を解析した結果、重症急性呼吸器症候群(SARS)に最も似ていることが判明したと、BBCは報じている。症状としては、高熱やせき、呼吸困難などが挙げられる。
AP通信によると、22日午前の時点で中国の死者は9人、感染者は440人に拡大した。感染者の多くは武漢にある動物の市場と接点があったため、動物から人への感染で拡散したと考えられている。しかし市場と接触がないのにウイルスに感染した例も確認されたことから、人から人にも感染が広がっているとみられる。
<参考記事>中国、新型肺炎の死者6人に 感染者は海外も合わせ300人突破
<参考記事>新型肺炎パンデミックの脅威、真の懸念は中国の秘密主義
特効薬はない
中国以外では日本、韓国、タイなどで感染例が報告されたが、CDCは17日、アメリカ人へのリスクは低いとの見解を発表していた。それでも「予防的準備措置」として、CDCおよび国土安全保障省の一部門である米税関・国境警備局(CBP)は、アメリカの主要3空港において検疫体制を強化した。
この追加検疫は、サンフランシスコ国際空港、ニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港、ロサンゼルス国際空港に到着した乗客のうち、直行便あるいは乗り換え便で武漢から渡航した者が対象だった。乗客は体温を計り、身体症状に関する質問票に答える。
22日(現地時間)には、WHOのメンバー16名と顧問5名が集まり、緊急の委員会を開く予定だ。「2019-nCoV」ウイルスが公衆衛生上の緊急事態の要件を満たしているかどうかを判定するとともに、感染の広がりを食い止めるためにどのような勧告を出すべきかを話し合う予定。
新型ウイルスについては、専門家がその性質を探っている段階だ。コロナウイルスには変種が多いため、特効薬は存在しない。とはいえ、個々の症状については手当てが可能だ。WHOのマリア・ファン・ケルクホーフェは、感染を防ぐ手立てを取るよう呼びかけている。石けんと水で手を洗う、くしゃみをするときは口元を手ではなくひじなどで覆う、すべての肉類はよく火を通してから食べる、などの対策が推奨されるという。
(翻訳:ガリレオ)
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