中国で捕らわれた外国人を待つ地獄の日々
A Cruel Fate in China
壁や天井には湿気のせいでカビが生え、もろくて欠けやすくなり、有毒な鉛を含む塗料が剝がれ落ちてくる。壁のコンクリートにも、冬場の凍結を防ぐために有毒物質が混ぜられている。
食事は格子越しに犬用の食器みたいなボウルで供され、どれも冷たい。不衛生で、どうみてもカルシウムやビタミンなどの必須栄養素が足りない。新鮮な野菜や果物などは望むべくもない。
必要な医療措置は施していると当局は言うが、まともな治療や投薬を受けることは不可能に近い。屋外で運動する機会はほぼゼロだから、日光を浴びることも、新鮮な空気を吸うこともできない。そのせいでビタミンD欠乏症やその他の病気になりやすい。
当然、皮膚病もよくある。症状が悪化しても保釈が認められることはない。私の知る収容者のほとんどはすぐ何らかの病気になったが、治療はされなかった。癌を発症した私も同様だった。
私たちは筆記具の所持も許されなかった。看守から借りることはできたが、週に1度で、わずか数分のみ。家族や友人に手紙を書くのも電話するのも自由ではない。家族との面会も許されない。
弁護士への連絡手段も、看守から借りたペンで書く短い手紙しかない。面会依頼や、日用品を買う金や衣類を送ってほしいという伝言を頼むのが精いっぱいだった。
制度上、被疑者の家族が衣服などを送ることは認められているが、食品や衛生製品の差し入れは不可とされる。そして被疑者は毎日、拘束された状態で、公安部その他の治安当局の職員に尋問される。もちろん弁護士の同席はない。弁護士との面会はめったに許されず、実現しても常に監視され、会話は全て録音されている。面会中に被疑者がメモを取ったり、監房に書類を持ち帰ったりすることも許されない。
被疑者は毎日、かなりの時間の思想教育を受けさせられる。被疑者にクリスマス用電飾の製造といった労働を強いる施設もあるという。所内には懲罰制度もある。態度が「悪い」と判定された被疑者は日用品の購入といった権利を奪われたり、正座を強制されたり、独房に閉じ込められたりする。
まやかしの司法制度
こうした人たちは、いったい裁判が始まるまでにどれだけ待てばいいのだろう。筆者の知る限り、2年ほどは拘束される例が多い。自白を拒んだせいで、結果的に5年も拘束された人もいる。
筆者自身、看守が私たちを「未決の犯罪者」という不思議な用語で呼ぶのを聞いたことがある。未決、つまり有罪と決まっていない人を「犯罪者」と呼ぶのは、西洋の常識では考えられない。だから私は抗議したが、看守は私の抗議の意味さえ理解できなかったようだ。