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男性の育休取得について考える──月単位の育休で人事評価にも影響?「生産性」の評価を

2019年11月29日(金)16時30分
久我 尚子(ニッセイ基礎研究所)

また、大学卒女性の生涯所得を働き方別に推計すると、出産後も就業継続した場合は、2人出産して、それぞれ育休を1年間、時間短縮勤務を下の子が小学校入学前まで利用したとしても、生涯所得は平均2億円を超える。一方で、出産後に退職し、子育てが落ち着いた後にパートで再就職した場合は約6千万円であり、就業継続した場合と比べて1.5億~1.7億円もの差が出る。

働く女性の約半数は第1子出産前後に退職する1。たとえ夫の育休期間中は世帯年収が減ったとしても、夫の育休が妻の就業継続につながるのならば、世帯の生涯所得は、はるかに増える。

しかし、以上の生涯所得の議論は妻が主に正規雇用者である場合だ。妻が非正規雇用者である場合に加えて、家庭の様々な事情によっては、目先の世帯収入を優先せざるを得ないこともある。

本来は育休の取得や、その期間は自由に選択できるべきだ。多様な人材が活躍できる環境整備に向けては、旧来型の慣習や制度を見直す必要がある。そのためには、やはり、これまでマジョリティーであった男性の働き方を大きく変えることが効果的だ。「働き方改革」過渡期の現在では、個別の事情に配慮しながらも、まずは大きく舵を切ることが求められる。

――――――――――
1 国立社会保障・人口問題研究所「第15回出生動向基本調査(夫婦調査)」

Kuga_Profile.jpeg[執筆者]
久我 尚子
ニッセイ基礎研究所
生活研究部 主任研究員

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