北京、動くか 香港デモ
10月15日に「香港人権民主法案」が米下院で可決した時、中国外交部は、「もしこの法案が成立した時には、中国政府は断固とした報復措置を実行する」と宣言していた。「その宣言を実行に移すぞ」と、アメリカに警告したのが、習近平のこの発言であったと位置づけることができる。
中国は香港デモの背後にはアメリカがいるとみなしている
習近平のBRICS会議における前述の発言の中にも「如何なる外部勢力も香港の業務に干渉することを許さないという決意も揺らぐことは絶対にない」という言葉があるように、中国は香港デモの首謀者はアメリカであると強く主張している。
今年8月15日のCCTV国際オンラインでも「香港暴力動乱の背後に"アメリカ勢力"」という報道をしている。この手の報道は何度も繰り返されており、ここに挙げたのは、その一例に過ぎない。記事の詳細をご紹介するのは又の機会にしたいが、要はデモのリーダーや背後で操っている民主派長老たちがペンス副大統領やポンペオ国務長官、あるいはその当時の(まだ解任されていなかった時の)ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)などと会っているとして、その証拠写真などを数多く報道してきた(詳細な説明は長くなるので省略する)。
また別の切り口から、たとえば8月27日付の中国経済網は「央視(CCTV):なぜ香港の暴力動乱には、いつもアメリカ国旗が出現するのか?」という見出しで、背後にアメリカがいることを盛んに報道している。この報道の3番目の写真に出て来る「美国(=米国)国家民主基金会」こそが、あの名だたる全米民主主義基金(National Endowment for Democracy)すなわち「NED」(民主主義のための全国基金)なのである。
この基金がなければ、なぜ「貧富の格差にあえいでいる」とされる香港の若者たちが、あれだけ長期間にわたってデモを続けることができるのかというのが、中国側の主張の一つだ。その資金はどこから来ているのか、働かなくても収入が途絶えることなく豊富な支援物資が次から次へと補給されているのはなぜかと、中国のメディアは反米一色に染まっている。
そしてアメリカの目的は「人民元の国際化を阻止するため」だと、中国の知識人や学者たちは分析している。彼らによれば、だからこそ、中国はグレーターベイエリア戦略を促進しているのだということだが、米中貿易戦争は今や金融戦争へと突き進み、その根幹はハイテク戦争にあるので、香港が狙われているのは、その一環だと分析している。
「2019年、年次報告書」も中国のハイテク技術を警戒
米中経済安全保障再考委員会の「2019年、年次報告書」も、「中国のハイテク技術が米国の安保上のリスクになる」と警告している「5GやIoTなどで中国が国際標準を握れば、アメリカのデータが吸い取られる」と述べている。