女性の着替えやトイレを監視──入管が組織的セクハラ
危うい入管の人権軽視
女性の尊厳を踏み躙るようなことを、入管が組織的に行っていることは、非常に危ういことだ。「不法滞在の外国人に対しては何をやってもいい」という奢りが、入管職員の間に蔓延しているのではないか。日本が、基本的人権の尊重を原則とする民主主義国家である以上、例え、殺人や強盗など犯した凶悪犯であっても、国家は法律に定められた刑罰を科すのみであって、「悪い奴だから何をやってもいい」ということでは断じてない。まして、拷問や虐待は禁止されている。
そもそも、入管法における収容は刑罰ですらなく「退去強制令書の発付を受けた外国人を強制送還する準備として、強制送還まで逃亡のおそれがある場合に一時的に収容しておくもの」と位置づけられるものだ。だが、実際には入管は制度を濫用、長期収容を常態化させ、本稿で取り上げたような被収容者への精神的な虐待を行っている(女性の着替えやトイレ監視を虐待だと見なさないなら、それはそれで問題だ)。
8日の法務委員会で「人権に配慮し、適正な処遇に務める」と答弁した森法務大臣は、これを機会に、入管のあり方自体を徹底的に問い直すべきだろう。
[執筆者]
志葉玲
パレスチナやイラクなどの紛争地での現地取材、脱原発・自然エネルギー取材の他、米軍基地問題や貧困・格差etcも取材、幅広く活動するジャーナリスト。週刊誌や新聞、通信社などに寄稿、テレビ局に映像を提供。著書に『たたかう!ジャーナリスト宣言』(社会批評社)、共編著に『原発依存国家』(扶桑社新書)、『イラク戦争を検証するための20の論点』(合同ブックレット)など。イラク戦争の検証を求めるネットワークの事務局長。オフィシャルウェブサイトはこちら。
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。