最新記事

入管

女性の着替えやトイレを監視──入管が組織的セクハラ

2019年11月12日(火)13時12分
志葉玲(フリージャーナリスト)

答弁する森まさこ法務大臣(写真中央)衆議院インターネット審議中継より

迫害から逃れてきた難民や日本で結婚しているなど、自国に帰るに帰れない事情を抱えた人々を法務省・出入国在留管理庁(入管)が収容施設に拘束(=収容)している問題で、また新たな不祥事が発覚した。収容中の女性達をそれぞれ独房に閉じ込め、24時間、ビデオカメラで監視。着替えやトイレの様子までも覗いていたのだという。今月8日の法務委員会でのやり取りで、入管側が認めた。

組織的セクハラ、森法相も対応を明言

今年に入って、入管の収容施設では、被収容者のハンガーストライキが続発している。「東京オリンピックのため安心安全の確保」を口実に、入管が2年以上の長期収容を常態化させているためだ(関連記事)。東京入管では、今年の夏頃、ハンガーストライキを行っていた女性の被収容者3名を「懲罰房」と呼ばれる独房に監禁。その部屋は、天井にカメラが設置されており、女性達が着替えやトイレで排泄をしている姿も常時監視される状態になっているという。この質儀に先立ち、入管側は仕切りをトイレのまわりに設置したものの、後述のようにカメラの位置から、やはりトイレが見えてしまう状態なのだ。

nyukanfoto2.jpg
入管による女性監視を追及する初鹿議員 衆議院インターネット審議中継より


この問題について、今月8日の法務委員会で初鹿明博衆院議員が問いただしたところ、入管の高嶋智光次長は「部屋によるがトイレの部分が(監視カメラに)映る部屋もある」と認めた

初鹿議員はさらに「大臣、女性の収容者がトイレをしている姿を(監視カメラで)映されているというのは、人権上、問題だと思いませんか?」と問いただす。「大臣がもし、自分がその部屋に何ヶ月かいたら、どう思います?これは、非常に不安ですし、嫌ですよね?」「今後は是非(着替えやトイレをしている姿が)カメラに映らないようにしていただきたいのと、東京入管に行って自分の目で確認してきて下さい」(同)。

これには、さすがに森まさこ法務大臣も「(初鹿)委員のご指摘は大変重要だと思います。トイレの時に、カメラに映らないようにするということは、人権に配慮することでありますので、適正な処遇に務めたいと思います」と答弁。処遇改善の意向を示した。

泣き叫んで抗議しても無視、摂食障害や自殺未遂も

この法務委員会でのやり取りに先立つ今年10月上旬、筆者は、東京入管でハンガーストライキをして懲罰房に監禁された女性3人のうち、2人に面会し話を聞くことができた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英総合PMI、12月速報は52.1に上昇 予算案で

ビジネス

独ZEW景気期待指数、12月は45.8に上昇 予想

ワールド

ウクライナ提案のクリスマス停戦、和平合意成立次第=

ビジネス

EUの炭素国境調整措置、自動車部品や冷蔵庫などに拡
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連疾患に挑む新アプローチ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    アダルトコンテンツ制作の疑い...英女性がインドネシ…
  • 9
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 10
    「なぜ便器に?」62歳の女性が真夜中のトイレで見つ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 8
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 9
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中