最新記事

ビットコイン

半年後の価格は......ビットコインの価格算定モデルが世界で話題に

2019年10月17日(木)18時05分
木村兼作(公認会計士)

一方でゴールドやシルバーよりその絶対量は少ないパラジウムやプラチナのSFはどうでしょう。パラジウムとプラチナのSFはそれぞれ1.1と0.4とゴールドやシルバーに比べて圧倒的に低いことがわかります。パラジウムやプラチナに限らずコモディティのSFが1を超えることは稀であるといえます。

ビットコインの現在の流通量は約18,000,000コイン、年間の新規供給量は約700,000コインであり、そのSFは25となります。このSFはビットコインをゴールドやシルバーのような貨幣的価値を持つ資産と同じ水準に位置づけることになります。

2020年5月にはビットコインの年間の新規供給量は半減します。その時点でSFは54となり、ゴールドのSFに一歩近づく形となります。さらに、その4年後の2024年に新規供給量が半減した時点でSFは115となります。ついには人類史上初めてゴールドを超える希少性の高い資産になるのです。

ビットコインの新規供給の仕組みの整理

ここで新しいビットコインがどのように生成されるかについて復習しておきましょう。

まず、ビットコインの総供給量は21,000,000ビットコインと上限が決められており、それ以上生成されることはありません。新しいビットコインは新しいブロックがビットコインのブロックチェーン上に追加される都度誕生します(ブロック報酬)。新しいブロックは平均すると10分に1回のペースで追加されます。

ブロック報酬はビットコインが誕生した2009年に50ビットコインからスタートし、210,000ブロックごと(約4年ごと)に半減(halving)します。一番最初のブロック報酬の半減は2012年11月28日に訪れ、その時点でブロック報酬は毎ブロック50ビットコインから毎ブロック25ビットコインに半減しました。

2回目の半減は2016年7月9日に訪れ、その時点でブロック報酬は25ビットコインから12.5ビットコインに半減しました。次の半減は2020年の5月に予定されており、ブロック報酬は現在の12.5ビットコインから6.25ビットコインに半減します。

このようにしてビットコインの年間新規供給量は4年毎に半減していき、総供給量の上限である21,000,000ビットコインには2140年頃に到達します。

ストック対フローと価値との関係

ビットコインのSFをx軸に、それぞれの時価総額をy軸にプロットすると面白い関係性を観察することができます。

191015kike2.png

Medium


プロットされている点の間を通るトレンド線を引くとその線の周りにキレイに点が集まっていることがわかります。トレンド線と実際の時価総額がどの程度一致しているかを示すR2は0.95ですが、これはSFと時価総額との関係が統計的に重要であることを示しています。

別の言い方をすればビットコインの時価総額の変動の95%はSFで説明できるということになります。注目すべきはこのトレンド線上にSFが62のゴールド(黄色の点)とSFが22のシルバー(灰色の点)もキレイにのってくるところです。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米プリンストン大への政府助成金停止、反ユダヤ主義調

ワールド

イスラエルがガザ軍事作戦を大幅に拡大、広範囲制圧へ

ワールド

中国軍、東シナ海で実弾射撃訓練 台湾周辺の演習エス

ワールド

今年のドイツ成長率予想0.2%に下方修正、回復は緩
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 8
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 9
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 10
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 3
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥーが解明される...「現代技術では不可能」
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 6
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 7
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中