中米グアテマラの女の子たちが、奪われた未来を取り戻すために
そのような状況の中、国際NGO「プラン・インターナショナル」(以下、プラン)は、女性、女の子たちを対象としたワークショップを行っている。「ジェンダー平等促進プロジェクト」の中で開催しているワークショップには、11~15歳の女の子、約380人が参加している。
ワークショップには学校に通っていない女の子たちも多く参加し、子どもの権利、ジェンダー平等について学ぶのと同時に、保守的なコミュニティの中では知識を得ることが難しい体の変化、衛生キットの使い方などについても触れる機会を得ている。参加者からは、「自分にも学ぶ権利、自分の意思を伝える権利がある」と気付くこと自体が、「生まれ変わったような気持だった」という声が聞かれた。
同時に行われている男性向けの研修では、「ジェンダー平等」に加え「子どもの教育の大切さ」などを学ぶ。これまでは「学校に行くのは男の子だけ」と考えていた父親が、研修への参加を通じ「娘を学校に通わせる」意義を認識し始めている。
女の子たちの中には、「将来、心理療法士になって、性暴力の被害を受けた子どもの心理ケアをしたい」という声もあった。性暴力という問題があることも、心理療法士という仕事も、学びの場がなければ知り得なかったかもしれない。
こうした学びのなかで、これまで閉ざされがちだった女の子たちの未来が今、より豊かな選択肢と共に拓かれつつある。
<国際ガールズ・デー(10月11日)関連イベント(国際NGO「プラン・インターナショナル」)>
<撮影:安田菜津紀 ©Natsuki Yasuda / Dialogue for People>
【安田菜津紀プロフィール】
1987年神奈川県生まれ。Dialogue for People(ダイアローグフォーピープル)所属フォトジャーナリスト。16歳のとき、「国境なき子どもたち」友情のレポーターとしてカンボジアで貧困にさらされる子どもたちを取材。現在、東南アジア、中東、アフリカ、日本国内で難民や貧困、災害の取材を進める。東日本大震災以降は陸前高田市を中心に、被災地を記録し続けている。著書に『写真で伝える仕事-世界の子どもたちと向き合って-』(日本写真企画)、他。上智大学卒。現在、TBSテレビ『サンデーモーニング』にコメンテーターとして出演中。