最新記事

ラグビーW杯

ラグビーW杯:オールブラックス、タトゥー隠して日本文化に配慮

2019年9月24日(火)17時30分
松丸さとみ

南アフリカ戦後にファンとセルフィーするオールブラックスのTJ・ペレナラ選手 Annegret Hilse-REUTERS

<国際ラグビー団体が、選手に日本ではタトゥーを隠すよう注意喚起しているが、一方日本の温浴施設も規則を緩和して対応している場所も少なくない......>

オールブラックス、「日本文化を受け入れなきゃ」

アジア初の開催となるラグビー・ワールドカップが盛り上がっている。大会期間中に来日する外国人は、40万人に達すると予測されている。そんな中、タトゥーに関して、日本人の習慣や心情に配慮して、運営組織や選手、サポーターはさまざまな対策を取っているようだ。

ラグビーの国際統括団体、ワールドラグビーはワールドカップに関する情報サイトで日本のエチケットを紹介するページを設けており、タトゥーの項目もある。暴力団とのつながりを連想させるため日本ではタトゥーが敬遠されており、「長袖で隠した方がいい」と説明している。英ガーディアン紙によるとワールドラグビーは昨年9月の時点でも、日本でジムやプールへ行くときは「タトゥーを隠して」と選手やサポーターに注意喚起していた。

ニュージーランド・ヘラルド紙はワールドカップ開幕直前となる17日、「日本文化に配慮し、オールブラックスが特別な対策を取っている」と報じた。オールブラックスとは当然、ラグビーの強豪ニュージーランドの代表チームだ。

オールブラックスは開幕前、事前キャンプで千葉県柏市に滞在していた。ホテル内には公共の温浴施設があったのだが、タトゥーを入れている選手がそうした施設を使用する際やホテルのロビーにいるときは、長袖のシャツやタイツなどを着用してタトゥーを隠した、とアーロン・スミス選手はニュージーランド・ヘラルドに明かした。ホテル側はタトゥーを見せても大丈夫だと言ってくれたそうだが、「いいんだ。僕らは日本にいるんだから。日本のやり方とか文化を受け入れなければ」と同紙に話した。

ガーディアンによると、ニュージーランドの中でもとりわけ先住民マオリの人たちや太平洋諸島の文化を持つ人たちにとっては、タトゥーは一般的だ。同じく太平洋諸島であるサモアの代表選手にとってもタトゥーは文化だが、日本では試合以外のときは肌着を着用して見せないように配慮していると同紙は報じている。

この投稿をInstagramで見る

We on.

Tj Perenaraさん(@tj_perenara)がシェアした投稿 -

この投稿をInstagramで見る

Tj Perenaraさん(@tj_perenara)がシェアした投稿 -

サポーターも日本の文化に配慮

タトゥーについて気を使っているのは選手だけではない。英公共放送BBCは、英ウェールズのファンの例を報じている。ウェールズ戦を観戦するために11日間の予定で日本に滞在するというガビン・バオスさんは、大きなタトゥーを入れている。しかし日本にいる友人から、それだと一部のプールや風呂には絶対に入れてもらえないと言われたとBBCに明かした。「問題を起こしたくないから、こういう習慣を知っておくのは本当に大切」とバオスさんは話し、普段はサンダルにTシャツ、短パンで過ごしている上に、日本の気温や湿度が高いことが心配だとしながらも、いざという時に備えて長袖シャツなどを購入したという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、米防衛企業20社などに制裁 台湾への武器売却

ワールド

ナジブ・マレーシア元首相、1MDB汚職事件で全25

ビジネス

タイ中銀、バーツの変動抑制へ「大規模介入」 資本流

ワールド

防衛省、川重を2カ月半指名停止 潜水艦エンジンで検
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 4
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 5
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 6
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 7
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 8
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 7
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 8
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 9
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 10
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中