差別から逃れるように暮らしていた? 戦前の日系人集落跡、カナダの森林で発見
大戦時の日系人抑留まで生活をしていた可能性も
スミソニアンによると、日本人によるカナダへの大規模な移住は1877年に始まり、多くの人が西海岸のBC州に身を落ち着けた。当時からアジア人への風当たりが強かったが、第2次世界大戦が始まると、差別は激化した。BC州によると1942〜1949年には、日系人2万2000人が同州内の太平洋沿岸地域から強制的に内陸部へと連行され収容された。
日系人が抑留されるようになる1942年までこの場所に人が住んでいたというマックル教授の仮説を裏付ける記録は何もないという専門家もいる。しかし料理用の高価なコンロが、まるで略奪されないよう隠すようにして置かれていたことや、ほとんどの物がほぼ損傷なく残されていたことから、同教授は、いずれにせよここに住んでいた人たちはかなり急いでこの場を後にしたのではないかと説明している。
バンクーバー周辺地域の飲料水を提供するグレーター・バンクーバー・ウォーター・ディストリクトはその後、この地域を立ち入り禁止とした。やがて集落は森林に覆い尽くされ、かつて日系人が隠れるように暮らした場所はさらに人目につかないようになっていったようだ。
日系カナダ人の抑留から75周年となった2017年4月には、BC州がこの場所を「日系カナダ人にとって歴史的に重要な場所」の一つに指定した。また、ノース・バンクーバー地区は2018年、マックル教授の功績を称えて「コミュニティ・ヘリテージ賞」(地域遺産賞)を授与している。