中国とインドが月面探査の先に見る野望
To the Moon and Beyond
2035年までに科学研究基地を建設するための最終ステップだろう。各国に先立ち南極探査に乗り出したチャンドラヤーン2号計画だが、現在の宇宙資源をめぐる国際情勢の中で、インドも月探査計画の方向転換を図っているようだ。いずれにせよ、月の南極は産業目的の探査にとって特に重要なエリアである。
だが、インドの月の資源への注目は今に始まったことではない。
2006年9月にはISROの当時の議長、マダバン・ナイールが、野心的なチャンドラヤーン1号計画(2008年打ち上げ)について、月面に眠るヘリウム3(将来、原子炉の燃料として使える)を探すためだと述べた。ナイールはインド核開発の中心施設であるムンバイのバーバ原子力研究所で演説し、「ヘリウムの埋蔵量が重要なのは、開発する前に経済的価値を算出できるからでもある」と述べた。
インド原子力委員会のアニル・カコドカル委員長(当時)も、ヘリウム3が核燃料として役立つと主張。地球にもヘリウム3はわずかに存在するが、月のほうが有望だと指摘した。「エネルギーの必要性は日に日に高まっており、地球にある燃料にいつまで依存していられるか。地球外にエネルギー源を見つけなければならない」
航空工学の専門家でもあったA・P・J・アブデル・カラム元大統領は「宇宙探査と人類進歩の未来」と題する2008年の論文で、世界の人口は2050年に90億人に達する見込みで、その人口を養うためには宇宙太陽光発電など宇宙資源に投資する以外に解決策はないと主張している。
地球の化石燃料が底を突いた場合はなおさらだという。問題は、宇宙開発を進める国々がそうした資源を利用する技術の開発に本気で取り組んでいるなか、それらの資源の所有権問題について適切な法的枠組みが準備できているのかどうかだ。
中国の嫦娥4号が月の裏側の探査を続け、インドのチャンドラヤーン2号が月の南極付近に着陸する一歩手前までいった今、真剣かつ緊急に政策を検討しなければならない。
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<2019年9月24日号掲載>
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