月面衝突した探査機に残されたクマムシが月で生き延びている?
クマムシが月で生息している可能性がある Ralph O. Schill/European Space Agency
<民間の無人月面探査機「ベレシート」は、月面着陸を試み月面に衝突したが、乗せられていたクマムシが月で生息している可能性があることがわかった......>
イスラエルの民間宇宙団体「スペースIL」によって打ち上げられた無人月面探査機「ベレシート」は、2019年4月11日、民間初の月面着陸に失敗し、月面に衝突した。
しかしこのほど、「ベレシート」に"搭乗"していたクマムシ(緩歩動物)が月で生息している可能性があることがわかり、話題となっている。
無人月面探査機「ベレシート」にヒトのDNAサンプルとクマムシが......
「ベレシート」には、人類の知識や地球上の生物の時空を超えたアーカイブ化に取り組む米国の非営利団体「アーチミッション財団」が制作した「アーチルナーライブラリ」とともに、ヒトのDNAサンプルとクマムシが乗せられていた。
「アーチルナーライブラリ」は、薄さ40ミクロンのニッケルディスク25枚で構成され、英語版ウィキペディアのデータや、フィクション、ノンフィクション、教科書、技術書などの書籍をPDF形式に変換したデータ、5000言語の翻訳データなど、人類の歴史や文明にまつわる3000万ページ相当のコンテンツが保存されている。また、ニッケルディスクの隙間にはエポキシ樹脂の層が埋め込まれ、25名から採取した毛嚢と血液のサンプルと、乾眠状態のクマムシが収められた。
「ベレシート」の月面衝突は、衝突から11日後の4月22日、アメリカ航空宇宙局(NASA)の月周回無人衛星「ルナー・リコネサンス・オービター(LRO)」から撮影された画像でも確認されている。
「ベレシート」が月面に衝突した時の速度は毎秒およそ1000メートルであったが、「アーチミッション財団」の科学顧問チームがこの画像を分析したところ、「アーチルナーライブラリ」は「ベレシート」の月面衝突にも耐え、損傷を免れたとみられている。