先進国から東南アジアへの廃プラ押し付けは許さない
My Country Is Not A Dumping Ground
プラごみも同条約の規制対象に含めるとする改正案が今年5月に採択されたが、発効は21年1月。それまではクリーンですぐにリサイクル可能なプラごみも、そうでないものが交じった汚染ごみも区別されない。
まだ国際的枠組みがなくても、汚染されたごみをマレーシアに輸出している国々はその適切な処理に道義的義務を負うべきだ。
例えばバーゼル条約によれば、輸出国は国内の廃棄物を輸出する前に相手国の承諾を得なければならない。私が目にした大量のプラスチックごみの受け入れにマレーシアが同意していないにもかかわらず、輸出国は何の責任も取らず、後始末をわれわれだけに押し付けている。
「国際リサイクル」は幻想
輸出国の明確な協力はまだ得られていないが、わが国は今後も相手国政府に働き掛けていく。意識は向上しており、バーゼル条約の精神を締約国が遵守する日が必ず来ると信じている。
中国のプラスチックごみ禁輸措置は、プラスチック再利用とプラスチックごみの国境を越えた移動をめぐる危機への取り組みが急務であることを世界に気付かせた。結局、ごみを分別するのと実際にリサイクルするのとでは大違いなのだ。
先進国ではごみを自国でリサイクルするより、地球の裏側にある途上国に輸出して「リサイクル」した気になったほうが、いまだに安上がりだ。リサイクルと環境保護というのは幻想にすぎない。廃棄物の大部分は捨てっ放しか違法に再利用されている。国際リサイクルが環境に優しい方法で行われるよう総合的に監視する必要がある。
さもないと米環境保護局(EPA)などからのリサイクル助成金は問題を悪化させるだけだろう。「国際リサイクル」とは名ばかりで、実際には最大規模のプラスチックごみ投棄だ。
環境に配慮して真面目にごみを分別している人々の努力も水の泡だ。せっかく分別したごみが違法再生処理工場で焼却されたり、海に投棄される。
世界の総人口は50年には97億に達する見込みだ。このまま生産、消費、「リサイクル」を続けたらどうなるか、考えるだけで恐ろしい。プラごみのリサイクル率は世界全体で10%未満。適切な分別基準も未分別の汚染されたプラごみをリサイクルする技術もない国が多いのだ。
この問題に取り組むには国際協力が必要だ。プラごみの輸出入を監視・管理する枠組みを作り、世界全体のリサイクル率を向上させなければならない。石油系の使い捨てプラスチック包装を環境に優しい材質に変える必要もある。世界が力を合わせれば、必ず危機を乗り越え、グリーン産業の新たな成長のチャンスも生み出せるはずだ。
<本誌2019年7月30日号掲載>
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