Google 「Pixel 4」の顔認証用データ、街で声をかけ5ドルで集めていた
Google 「Pixel 4」顔認証用データは、「足で稼いだ」ものだった...... Google Pixel 4
<Googleの今秋発売予定のスマホ「Pixel 4」で、ロック解除方法として顔認証を採用されるが、開発のためのデータは意外な方法で集められていた......>
Googleが、この秋に発売予定のオリジナルスマートフォン「Pixel 4」で、ロック解除方法として初めて顔認証を採用する。
AppleがiPhoneのロック解除に顔認証の「Face ID」を採用したのは、2017年発売の「iPhone X」からだ。それ以降iPhoneの新モデルは毎年、「Face ID」搭載になっている。
顔認証は、大まかに説明すると、それまで一般的になっていた指紋認証の代わりに、スマートフォンなどに顔を向けることで、本人であると認証させる機能。iPhoneの場合は、ロック解除やApple Payの実行に使う。
Appleは世界中の、性別、年齢、民族......10億点画像を使った
AppleはFace ID採用に当たり、開発のためのデータセットに偏りがないよう「世界中の、性別、年齢、民族、その他のカテゴリーを代表する人々に協力を求め、10億点以上の画像をデータセットとして使った」と、「Face ID Security」という文書で説明している。
データセットに偏りがあると、人種や肌の色によって、認証がうまくいかないケースが出てくる可能性がある。例えばMITメディアラボで研究者の顔データを使ってトレーニングした顔認証システムは、黒人女性の顔を認識できなかったと、MITメディアラボの研究者、ジョイ・ブオラムウィニ氏が2016年、TEDで語った。メディアラボの研究者は白人の男性が多いため、非白人の女性の認証を失敗したということだった。
Googleの従業員だと名乗る人物から顔データ提供を求められた......
Googleはかつて、顔認証で大きな失敗をしている。同社のAI採用写真アプリ「Googleフォト」が、AIによる自動タグ付けで、黒人の女性の写真に「ゴリラ」というタグを付けてしまったのだ。
そんなGoogleがPixel 4での顔認証システム採用に当たってとった対策は、データセットのための顔データを"足でかせぐ"ことだった。
5月ごろから、Googleの従業員だと名乗る人から顔データ提供を求められたという体験談が出始めていた。ZDNetによると、協力することに合意すると、改造されたPixelを手渡され、約5分間手や顔の動きを収集されたという。協力すると、5ドル(約540円)分のAmazonあるいはスターバックスのギフト券をもらえる。
かなり泥臭い方法だが、人種や肌の色、性別を実際に目で確認した上で声を掛けるというのは、確実な方法とも言える。
最先端のIT企業がやることとしては意外かもしれない。だが、同社のGoogleマップの特徴である「ストリートビュー」は、実際にカメラで道路の写真を撮ることで構築している。これもかなり泥臭い方法だ。Googleが何人の協力者のデータを集めたかは不明だが、一度決めたら力技も発揮するGoogleの特徴が出た例かもしれない。今回、「Pixel 4」のロック解除方法として採用された顔認証だが、今後、Googleがどういう展開をするか楽しみでもある。