イトカワ着陸から14年、はやぶさ2のサンプル採取装置の性能は実証された
初代はやぶさで考えられた理論が生きている
それでも、サンプラホーンはゴツゴツのリュウグウの環境をものともせず、計画通りサンプル採取に成功した。それを可能にした装置の設計には、小惑星の「自然」を研究した初代はやぶさのサイエンティストによる理論が生きている。
サンプラホーンとは、はやぶさ2本体の下面に取り付けられた筒状の採取装置。ホーンの先端部分が小惑星の表面に接地するとタンタル製の弾丸が打ち出される。弾丸は砂礫に当たれば砂を巻き上げ、岩に当たれば岩を砕いて弾き飛ばす。2018年末、小惑星リュウグウと同じように炭素を含む礫を模して作られた「人工リュウグウ」に弾丸を打ち込む実験が行われた。「実験の結果、砕けて周囲に放出された礫の破片が、周りを囲む他の礫たちにビリヤードのように衝突して連鎖的に砕き、当初の想定以上のサンプル量を表面から放出させることが分かりました」(JAXA はやぶさ2プロジェクト トピックス「リュウグウに弾丸を打ち込め!」より)。
当たった対象が岩であっても、弾丸が砕くのでサンプルを採取できる。着地点の条件を選ばないことがはやぶさ2サンプル採取装置の優れた点だ。澤田さんは、「リュウグウの物質は炭素を含んでいて比較的もろいので」としながらも「自信はあった」とサンプル採取方式の強みを誇らしげに語った。