最新記事

性的暴行疑惑

「ハウス・オブ・カード」の米俳優ケビン・スペイシー、7日に出廷へ──セクハラ、性的暴行疑惑とアーティストの関係とは

2019年1月7日(月)18時00分
小林恭子(在英ジャーナリスト)

スペイシーの性的暴行疑惑が最初に報道されたのは、2017年10月末。俳優アンソニー・ラップが1986年のある事件を告発した。ラップによると、当時14歳だったラップがスペイシーのアパートを訪れたとき、スペイシーは横たわったラップの上に自分の体を重ね、「誘惑しようとした」という。

スペイシーはそのようなことをした「記憶はない」が、酔った上での行為についてラップに謝罪した。同時に、過去には男性とも女性とも性的関係を持ったが、これからは「同性愛の人間」として生きていくとツイッターで宣言した。

同性愛であることをカミングアウトするとしても、実に奇妙なタイミングを選んだものだとして、多くの同性愛者から反発を受けた。

翌日から、次々とスペイシーに何らかのセクハラ、あるいは性的暴行を受けたとする人々が声を上げだした。

イギリスに住む筆者にとって特に衝撃だったのは、スペイシーがロンドンのオールドビック劇場で芸術監督を務めた時代(2004年から15年)にセクハラ・性的暴行が何件も発生していたという疑惑が報道されたことだった。

筆者を含めてイギリスに住む多くの人は、「ハリッドの大スターがロンドンにわざわざ来てくれた」、「時間をかけて演劇界を活性化してくれた」と受け取り、スペイシーに感謝の気持ちを抱いていた。2015年、スペイシーにはKBE(大英勲章第2位)が授けられた。そんなスペイシーがまさか、ロンドンでおかしなことをしていたとは......。

劇場で働く20人にトラウマ

2017年11月16日、オールドビック劇場は調査結果を発表し、少なくとも20人がスペイシーによる「不適切な行動」のために苦しんでいることが分かった。16人は男性であった。

これまでにスペイシーは、1980年代から2000年代に発生したとされる一連の疑惑を否定している。

どこまでが実際に起きたことなのかは筆者には不明だが、推定無罪の原則があるにせよ、二桁の疑惑が出てきた以上、相手が十分に同意しない形で、スペイシーが何らかの性的行動に及んだ可能性は高いと言えるのではないか。

「相手が十分に同意しない」という部分は、スペイシーからすれば「同意していた」ように見えた部分もあるのかもしれない。

しかし、スペイシーが「芸術監督」あるいは「著名俳優」ということで、ノーと言えば、仕事に支障が生じるかもしれない恐れを人々が感じた場合もあるだろう。

米娯楽界でのセクハラ・性的暴行疑惑告発のきっかけとなった、ハリウッドの大物映画プロデューサー、ハービー・ワインスタインの事例がまさにそうだった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:戦闘で労働力不足悪化のロシア、インドに照

ワールド

アングル:フロリダよりパリのディズニーへ、カナダ人

ビジネス

NY外為市場=ドル横ばい、米CPI受け 円は週間で

ビジネス

米国株式市場=3指数が週間で下落、AI巡る懸念継続
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発される中国のスパイ、今度はギリシャで御用
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」でソフトウェア株総崩れの中、投資マネーの新潮流は?
  • 4
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    【インタビュー】「4回転の神」イリヤ・マリニンが語…
  • 7
    川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に─…
  • 8
    中国の砂漠で発見された謎の物体、その正体は「ミサ…
  • 9
    「ドルも弱い」なのになぜ、円安が進む? 「ドル以外…
  • 10
    機内の通路を這い回る男性客...閉ざされた空間での「…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 6
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 7
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 8
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 9
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 10
    50歳には「まったく見えない」...信じられないレベル…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 7
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中