最新記事

睡眠

女性のベッドのお供は......人間ではなく犬がベスト!?

2018年12月12日(水)15時30分
モーゲンスタン陽子

犬が幸せ感と安心感を与えてくれる… Rasulovs-iStock

<アメリカの最新調査によると、多くの女性が人間のパートナーより犬と寝ているときにより深い安心感を覚え、よく眠れるという...>

アメリカ全土の962人の女性を対象に行われた最新の調査で、女性は人間のパートナーより犬といっしょに寝たほうが睡眠の質が向上する可能性があることがわかった。

調査は、アンケート回答とアクティグラフ(睡眠・覚醒判定機器)による自己診断ではあるが、それによると、多くの女性が人間より犬と寝ているときにより深い安心感を覚え、よく眠れるようだ。

猫ではダメ......

ニューヨーク州バッファロー市のカニシャス大学によって行われた調査では、対象者のうち55%が少なくとも1匹以上の犬と寝ていると回答。少なくとも1匹以上の猫と寝ているのは31%で、女性全体の 57%は人間のパートナーとも寝ていると答えた。

学者たちがデータを分析したところ、犬は、人間に比べ、飼い主の女性を睡眠中に起こすことが少なく、夜間の防犯という観点で安心感を与えるという。女性たちは、心地よさとセキュリティにおいて人間よりも犬のほうを高くランク付けした。

だが、残念なことに、猫では同様の効果が得られないそうだ。猫は人間と同様、睡眠の妨げとなる可能性が大きく、またセキュリティの面でも犬ほど頼りにならないのが理由だ(愛猫家たちの反論が聞こえてきそうだが...)。

ちなみに、以前、アリゾナのクリニックが行った別の調査では、犬と一緒に寝る人は男女の別なく一般的に睡眠の質が良かったという。

犬の飼い主のほうが健康的?

確かに、人間のパートナーと寝るのは難しいこともある。相手がいつまでも本を読んでいたりすると、ランプが眩しくてなかなか寝つけなかったりするし、またアメリカの多くの家庭のように、主寝室にテレビを備え付けていたりする場合はさらに問題だ。イビキの問題は......これは大型犬の場合もあまり変わらないかもしれない。

パートナーだけではない。人間の場合、小さな子供も睡眠を妨げる原因となる。研究チームを率いるクリスティ・L・ホフマン教授は、飼い犬が自分の幼い娘のように自分の睡眠を妨げることがないことに気づき、同研究を思いついたという(サイコロジー・トゥデイ)。

ホフマンはまた、犬の飼い主は、犬を飼っていない人や猫の飼い主に比べ、就寝時間が早めなどよりよい睡眠習慣を持ち、また散歩の必要性などから、より厳しい日課をこなしているとも分析している(ハフィントン・ポスト)。

さらにセキュリティ面においては、「侵入者やその他の緊急事態の場合、犬が教えてくれるだろうと安心感を持つ飼い主もいるのでは。猫はあまりそういう役目をこなさないでしょうから」と、自身も「犬好き」というホフマンは言う。

犬と人間が見つめ合うと「愛情ホルモン」の分泌が急増

一方、英デイリー・メール紙によると、人間と犬のあいだにはあきらかに化学反応があるという。人間と犬が見つめあうとき、「愛情ホルモン」あるいは「幸せホルモン」などと呼ばれるオキシトシンの分泌量が急増することを日本人研究者たちが突き止めた、と同紙は伝えている。犬の場合、飼い主を見つめるときに分泌量が130%になり、人間が飼い犬を見つめるとき、男女ともにそれは300%にものぼるそうだ。

犬が幸せ感と安心感を与えてくれる──つい先日も、昨年全世界で殺害された女性のうち約60%が、パートナーや親族に殺されたというショッキングな国連発表があったばかりだ。人間のパートナー、とくに男性より、犬のほうが安心できるという現象もわからないでもない。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

プーチン氏、ウクライナを暫定統治下に置く可能性示唆

ビジネス

米財政赤字と公的債務は今後30年で著しく増加、議会

ビジネス

トランプ氏の関税計画を評価中、米景気後退はない見込

ワールド

豪総選挙、5月3日実施 生活費高騰など争点
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影された「謎の影」にSNS騒然...気になる正体は?
  • 2
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中国・河南省で見つかった「異常な」埋葬文化
  • 3
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジェールからも追放される中国人
  • 4
    地中海は昔、海ではなかった...広大な塩原を「海」に…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    「マンモスの毛」を持つマウスを見よ!絶滅種復活は…
  • 7
    「完全に破壊した」ウクライナ軍参謀本部、戦闘機で…
  • 8
    なぜANAは、手荷物カウンターの待ち時間を最大50分か…
  • 9
    老化を遅らせる食事法...細胞を大掃除する「断続的フ…
  • 10
    【クイズ】アメリカで「ネズミが大量発生している」…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 3
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 4
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
  • 5
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 8
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 9
    大谷登場でざわつく報道陣...山本由伸の会見で大谷翔…
  • 10
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中