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神戸の洋菓子チェーン破綻に見る「地方スイーツ」終焉の始まり

2018年10月30日(火)16時45分
阿古 真理(作家・生活史研究家)*東洋経済オンラインからの転載

また、海外旅行をする人も増え続け、神戸の西洋文化発信地としての魅力は薄れた。少子高齢化も進み、企業は、ビジネスモデルを変えなければならなくなっていく。

現在の神戸市は、神戸市経済観光局が2016年に発表した「神戸経済の現状」から厳しい状況が続いていることがわかる。そのレポートによると、中心産業のケミカルシューズ、真珠輸出、清酒のいずれも阪神淡路大震災前後と比べて低迷している。また、洋菓子と密接に関係がある百貨店についても売上高は下がっている。

東京に出るか、地元で愛されるか

神戸で人気を保っている洋菓子店を眺めると、大手のモロゾフやユーハイムのほか、昔ながらの人気ケーキがある老舗、元町ケーキや、オーナーパティシエが現代の名工に選ばれるなど、技術力の高さで定評があるツマガリが目につく。人気店には、地元の人に加えて観光客も訪れる。

モンブランの場合、経営が厳しい中でも、3店を新規出店するという戦略をとった。しかし、スイーツ需要の低迷に伴う競争激化が進む中、「中途半端」なポジショニングとなってしまい、出店コストを吸収できなかったのではないか。

帝国データバンクによると、2015年6月には売上高が6億6500万円あったのが、2018年6月期には5億2100万円に縮んでいることから鑑みても、焦りがあったのかもしれない。

大手のモロゾフやアンリ・シャルパンティエのように、競争はより厳しいが、市場も大きい東京への進出を目指す店がある一方、着実に技術を磨き、地元の人に愛される小さな洋菓子の名店を目指すか。その両端しか、市場規模が小さい地方で生き残る道はないのではないだろうか。

※当記事は「東洋経済オンライン」からの転載記事です。
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