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上皮組織に新しい「三次元形状」が発見され話題に

2018年8月1日(水)18時50分
松岡由希子

共同研究プロジェクトの一員でもあるリーハイ大学のハビエル・ブセタ准教授は、そのときの状況について「我々のコンピュータモデルの予測結果は奇妙なものだった。組織が湾曲していくにつれて、従来考えられていたような円柱や瓶の形状だけでなく、名前さえない形状が認められたのだ。」と述べている。

「スクートイド」の可能性...

そこで、共同研究プロジェクトでは、このコンピュータモデルの予測結果を検証するべく、ハエや熱帯淡水魚のゼブラフィッシュなど、様々な生物の様々な組織の三次元のパッキング構造を分析した。

その結果、上皮細胞は、コンピュータモデルが予測したものと似た、いわゆる「スクートイド」の形状になっていることがわかった。「スクートイド」は、三次元のパッキング構造を安定化させ、エネルギー消費を最低限に抑え、上皮組織の効率的に湾曲の形状を安定化出来ると考えられている。

「スクートイド」の発見は、上皮器官の三次元構造のさらなる解明に道をひらくだけでなく、効率的に組織を進化させる手法としてこの仕組みをまねることで、再生医学の発展にもつながると期待が寄せられている。

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