最新記事

ドイツ

人種差別を理由に代表引退のエジル そしてドイツでわき上がる論争

2018年7月26日(木)17時20分
モーゲンスタン陽子

トルコ・エルドアン大統領との写真

大会中のエジル叩きには、実は前哨戦があった。去る5月、エジルはトルコのエルドアン大統領と一緒に写真に収まったのだが、その写真はその後トルコ政府によってまるでプロパガンダのように流用された。そのような背景があったからこそ、今大会中のエジル叩きがエスカレートしたようだ。

RTX6CDFD.jpgエジルとトルコのエルドアン大統領 Kayhan Ozer/Presidential Palace/REUTERS

エジルは声明で、件の写真は政治家へのよくある表敬訪問のようなもので、政治的な意味合いはなかったと説明している。一方で、昨年の記事(緊張が高まるトルコと西ヨーロッパ諸国)にもあるように、選挙は4月に終わったとはいえ在外投票者獲得に余念のないエルドアン政権にしてみれば、エジルのようなドイツのスーパースターとの記念写真は格好の宣伝素材だったのかもしれない。エジルが政治家の思惑に巻き込まれた感があるが、今回の代表引退を受けエルドアンが再びドイツの人種差別を非難したため、さらに事がややこしくなりそうだ。

さらに、ドイツ生まれのエジルが心にトルコを感じていたとしても、彼がドイツに残した功績にかわりはない。いまだにこの写真の件を責め立てるドイツ人がいる一方で、イラン系ドイツ人の人気司会者・ジャーナリストのミケル・アブドラヒは、「問題の写真は人種差別を正当化するために利用されている」と指摘している

国際連合人権理事会からの勧告

そして今回の件により、ここしばらくドイツの課題となっている人種差別に関するディベートが急激に加速した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米新規失業保険申請件数は1000件減、小幅減も雇用

ワールド

カナダ中銀総裁「予測外れるリスク高まる」、米政策の

ビジネス

米労働生産性、第3四半期速報値は4.9%上昇 2年

ビジネス

トランプ氏「今すぐ大幅利下げを」、金利据え置きでF
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大胆な犯行の一部始終を捉えた「衝撃映像」が話題に
  • 3
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 4
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 5
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 6
    パキスタン戦闘機「JF17」に輸出交渉が相次ぐ? 200…
  • 7
    配達ライダーを飲み込んだ深さ20メートルの穴 日本…
  • 8
    致死率高い「ニパウイルス」、インドで2人感染...東…
  • 9
    日本経済を中国市場から切り離すべきなのか
  • 10
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 4
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 5
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 6
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 7
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 8
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    40代からは「積立の考え方」を変えるべき理由──資産…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中